【法改正情報】「労働時間の客観的な把握の義務付け」と労務に関する最近の動きについて

【法改正情報】「労働時間の客観的な把握の義務付け」と労務に関する最近の動きについて

おはようございます。

社会保険労務士事務所プロセスコアの木下です。

 

立秋とは名ばかりの暑い日が続いています。

お盆を過ぎ、幾分暑さも和らぐのでは、

と期待しつつ残暑を乗り切りたいと思います。

 

さて、今回のメールマガジンは、働き方改革

関連法において改正された「労働時間の客観

的な把握の義務付け」と最近のニューストピ

ックについてご紹介します。

 

2019年4月より管理職も含めた、「労働時間

の客観的な把握」を企業に義務付けました。

 

これまでも、労働時間を把握することについ

ては、労働基準法に基づく通達において

「使用者の責務」として規定されていました

が、「使用者の義務」として明文化はされてい

ませんでした。

 

この通達は、時間外・休日労働の割増賃金が

きちんと支払われることを目的としていたた

め、時間外・休日労働の割増賃金支払義務対

外となる管理職についてはこの通達の対象

となり、労働時間の把握においても対象外

なっていました。

 

しかし、今回の労働時間把握の義務付けは労

働基準法の改正ではなく、労働安全衛生法の

改正であり、前述とは目的が異なっています。

健康管理の観点によるもので、企業が労働時

間を把握することで長時間労働者に対する医

師の面接指導を確実に実施することを目的と

しています。ですから、労働基準法のような

象外はなく「すべての労働者を対象」とし

いるところが留意すべき点です。

※安全衛生法においては、1月の残業が労働

時間が100時間を超えた労働者から申し出が

あった場合、医師による面接指導を企業に義

務付けています。

 

それでは、「労働時間の客観的な把握」とは、

どういうものを想定しているのかをご説明し

ます。

平成29年1月に厚生労働省より公開された

「労働時間の適正な把握のために使用者が

講ずべき措置に関するガイドライン」に

よりますと、

① 使用者が自ら現認すること

② タイムカード、ICカード、パソコンの使用

時間の記録等の客観的な記録を基礎とすること

と記載されています。

 

①の場合、従業員数が増えてきますと、使用者

が自ら、従業員の始業、終業の時間を現認する

ことは難しいと思われます。

そうなりますと②の方法にて管理することが

求められます。

現状、タイムカード等を使用していない企業

については、労働時間管理方法の見直しが必

要となってまいります。

 

「労働時間の適正な把握のために使用者が

講ずべき措置に関するガイドライン」は

下記のリンクよりご覧頂けます。

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000149439.pdf

 

また、5月18日配信のメールマガジン「労働

時間管理の運用方法について」にて始業・終

時刻の考え方や、残業管理の方法などを

ご紹介しておりますのでご参考下さい。

「労働時間管理の運用方法」

(2018.5.18配信)

https://process-core.com/process-core/roudoujikankanri.html

 

労働時間管理の具体的な対応方法について

ご不明な点については、担当スタッフまで

どうぞご連絡下さい。

 

 

○●○最近の動き(Topics)━━━━●○●

1.管理職の労働時間把握と保存義務づけ

   (7月31日)

2.専門実践教育訓練給付 最大4年に

   (7月30日)

3.最低賃金26円上げで全国平均874円に

   (7月25日)

4.来年4月より外国人就労拡大へ(7月25日)

5.ベトナムからの介護人材1万人を受入れへ

   (7月25日)

6.税・社会保険料関連の書類を不要に政府が

   検討(7月3日)

7.外国人技能実習生受入れの法令違反、過去

   最多(6月21日)

8.66歳以上まで働ける企業が増加(6月5日)

9.育休の分割取得を提言へ(6月3日)

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1.管理職の労働時間把握と保存義務づけ

   (7月31日)

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厚生労働省が、来年4月から管理職の労働時

間把握を企業に義務づける。また、安衛法の関

連省令を改正し、3年間分の保存も義務づける。

取締役ら経営陣は対象外。管理職には労働時

間の規制がかからないため労働時間管理がお

ろそかになりやすく、時間外賃金の不払いや

過労自殺などの問題も起きているため、雇用

者全体の労働時間管理を厳しくすることで長

時間労働を減らす狙い。

 

 

2.専門実践教育訓練給付 最大4年に

   (7月30日)

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政府は2019年度より、雇用保険から支給され

る専門実践教育訓練給付の支給上限(最大3

年で168万円)を4年にする。対象となる講

は、医療や介護など人手不足が見込まれる

の資格取得(看護師、理学療法士、介護福

祉士、管理栄養士など)。利用者は、国が指

する講座に自分で学費を納め、ハローワー

で給付申請手続きをすれば費用の一部が戻

てくる。

 

 

 

3.最低賃金26円上げで全国平均874円に

   (7月25日)
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厚生労働省の中央最低賃金審議会の小委員会

は、2018年度の最低賃金(時給)について、

今年度の引上げ額の目安を全国平均で26円と

することを決めた。上昇率は3年連続で3%

となり、実現すれば全国平均が874円になる。

 

 

4.来年4月より外国人就労拡大へ(7月25日)

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政府は、一定の技能や日本語の能力を条件に

最長5年、建設や農業など5分野を中心に単

純労働を認めるなど、外国人労働者の新たな

就労資格を設けることなどを盛り込んだ入国

管理法改正案を秋の臨時国会に提出する方針

を固めた。2019年4月の施行をめざす。

 

 

5.ベトナムからの介護人材1万人を受入れへ

   (7月25日)
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政府は25日、ベトナム政府と同国からの介護

人材の受入を拡大することで合意した。2020

年夏までに1万人の数値目標を設定し、環境

整備を急ぐとしている。介護分野における人

手不足は深刻な状況であることから、インド

ネシアなど他国にも広げていく方針。

 

 

6.税・社会保険料関連の書類を不要に政府が

      検討(7月3日)

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政府は、源泉徴収に必要な税務書類など従業

員に関連する書類を対象に、企業による資料

の作成・提出を不要とする検討を始めた。企

がクラウド上にあげた給与情報等データに

政側がアクセスして手続きを進めるように

ることで、官民双方の事務負担を減らして

産性を高める。2021年度からの実施を目指

す。

 

 

7.外国人技能実習生受入れの法令違反、過去

     最多(6月21日)

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厚生労働省は20日、外国人技能実習生の受入

れ企業の事業場での労働法令違反について、

2017年に4,226か所でみつかったと発表した。

前年より5.5%増え、4年連続で過去最多を更

新した。内訳では、労使協定を超える残業な

「労働時間」に関する違反が1,566カ所で

多、「安全基準」が1,176カ所と続いた。

 

 

8.66歳以上まで働ける企業が増加

  (6月5日)

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厚生労働省の調査によると、従業員31人以上

の企業で希望者が66歳以上まで働ける企業の

割合が6.7%(2017年。前年比0.9ポイント

増)に上ることがわかった。業種は宿泊・飲食

サービス業や運輸・郵便業、建設業で多く、取

組み内容では「定年の廃止」42.7%、「66歳以

上までの継続雇用」32.8%、「66歳以上定年」

24.5%となっている。

 

 

9.育休の分割取得を提言へ(6月3日)

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内閣府の「少子化克服戦略会議」が政府に対

て行う少子化対策の提言案で、男性が育児

参加しやすくなるよう、原則子1人につき1

回しか認められない育休の分割取得など「弾

力的な育休制度」の検討を求めることがわか

った。時間単位育休の導入促進なども打ち出

している。政府は、提言を踏まえ、法改正も

野に対策を講じる方針。

 

 

最後までお読み頂き、ありがとうございました。