2023.02.06
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「年収〇〇万円の壁」への対応方法

「年収〇〇万円の壁」への対応方法

今回のコラムは、パートタイムで働く方が年収や年間時間数をどのくらい働くのか?考える際の目安にしていた年収「〇〇万円の壁」の壁が働く方にとってどのような影響をもたらし、かつ、人事担当者がどのようなアドバイスを行っていく必要があるのか?解説してみました。

まず、「年収〇〇万円の壁」って何?という方もいらっしゃると思うので簡単に説明すると、税法や社会保険の扶養内で働いていた方が、時給が上がることで扶養から外れてしまい、税金や社会保険料の支出が増える可能性があって年収が増えても手取り額が増えない、逆に減ってしまうような状況を生んでしまうことをいいます。そのため、扶養内に抑えたい場合には、勤務時間を減らす必要が出てきます。

例えば、時給1,000円、1ヶ月80時間働く方が時給単価が上がり、1,100円になった場合

昇給前
 時給1,000円 × 1ヶ月80時間 × 12ヶ月 = 年収96万円(課税収入)

昇給後
 時給1,100円 × 1ヶ月80時間 × 12ヶ月 = 年収105.6万円(課税収入)

となり、同じ勤務時間であったとしても年収が上がり、自身で所得税と住民税を納める必要が出てきます。理由は以下の壁を超過するからです。

【100万円の壁】

100万円の壁は住民税に関する壁です。
これは、「給与所得控除額65万円」と「住民税の非課税控除額35万円」を合計した金額です。
パートタイムの年収が100万円を超えると住民税を支払う義務が生じます。

【103万円の壁】

103万円の壁は所得税に関する壁です。
「給与所得控除額55万円」と「所得税の基礎控除額48万円」を合計した金額です。
パートタイムの年収が103万円を超えると所得税の納税義務が生じます。

【106万円の壁・130万円の壁】

106万円の壁と130万円の壁は、いずれも社会保険に関する壁です。
次の条件を満たす場合には、パートタイムの年収が106万円を超えると、社会保険料を支払うことが必要となります。

  • ・ 勤務先の社会保険加入者が101名以上であること
  • ・ 1年以上勤務する見込みがあること
  • ・ 労働時間が週20時間以上であること
  • ・ 学生でないこと

上記の条件を満たしていない場合には、パートタイムの年収が130万円を超えると社会保険料の支払い義務が発生します。
また、配偶者の勤め先企業の給与規程に、社会保険の扶養に入っている配偶者を持つ人に対して扶養手当を支給するといった規定があれば、年収が130万円超えることで扶養手当も支給されなくなることもあります。

では、このような「年収〇〇万円の壁」に対してパートタイムで働く方々に人事担当者がどのようなアドバイスをしていくかですが、次回のメールマガジンで解説したいと思います。