2026.05.18
助成金

従業員の不妊治療や女性特有の健康課題と仕事の両立を支援する際に活用できる助成金制度の紹介

従業員の不妊治療や女性特有の健康課題と仕事の両立を支援する際に活用できる助成金制度の紹介

今回のコラムでは、従業員の不妊治療や女性特有の健康課題と仕事の両立を支援する制度整備の際に活用できる助成金について、制度のポイントを解説していきたいと思います。

令和7年度両立支援等助成金で新たに追加された助成金であり、今後ぜひご活用頂きたいと思い、ご紹介させて頂きます。

制度整備は今後の人材採用活動のPRにも繋がります。

制度概要

内容といたしましては不妊治療や、月経・更年期といった女性の健康課題と仕事の両立を支援するため、利用しやすい環境整備に取り組む事業主を支援する制度です。

ポイントとしては「制度を作ること」に加えて、「実際に従業員様に利用してもらうこと」がセットで要件となっています。

本コースでは、次の3つのケースでそれぞれ助成金が支給されます。

① 不妊治療
 ・不妊治療と仕事の両立を支援する制度を導入し、従業員が利用した場合
 ・男女問わず利用できる制度である必要があります
② 女性の健康課題対応(月経)
 ・月経による症状に対応するための制度を導入し、女性従業員が利用した場合
③ 女性の健康課題対応(更年期)
 ・更年期の心身の不調に対応するための制度を導入し、従業員が利用した場合
 ・少なくとも女性が利用できる制度である必要があります
  (男女ともに利用可能とするのが望ましい

■ 支給要件

助成金を受給するには、次の4つの要件をすべて満たす必要があります。

  • 制度の整備と周知
  • 両立支援担当者の選任
  • 従業員の利用実績(5日/回以上)
  • 対象従業員の雇用継続

以下、各項目について説明いたします。

① 制度の整備と周知 

両立支援のための制度について、就業規則または労働協約に明記が必要です。

その際、制度の内容、手続き、賃金の取扱いなどを定めます。

→ 制度の内容は6つあります。

  • ・休暇制度
  • ・所定外労働制限制度
  • ・時差出勤制度
  • ・短時間勤務制度
  • ・フレックスタイム制
  • ・在宅勤務等

各制度の詳細に関しましては、下記のリンクからご確認下さい。
https://www.mhlw.go.jp/content/001698903.pdf
(両立支援等助成金支給申請の手引き令和8年度版パンフレットp168~p169))

規定例参考・・・不妊治療休暇制度の例

  • 規定例
  • (不妊治療のための休暇)
  • 第◯条 不妊治療を受ける社員は、1年間につき最大5日まで取得することができる。
    この場合の1年間とは、4月1日から翌年3月31日までの期間とする。
  • 2 前項の休暇を希望する社員は、原則として休暇を開始する前までに会社に申出るものとする。
  • 3 前項の休暇は、時間単位で始業時刻から連続又は終業時刻まで連続して取得することができる。
  • 4 前項の休暇は、有給とする。
  • 5 賞与の査定において、前項の休暇を取得したことによる不利益は生じない。

その他の規定例も厚生労働省よりでておりますので、ぜひご活用下さい。

不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース 就業規則の規定例https://www.mhlw.go.jp/content/001514485.pdf

ポイント
従業員が制度を利用し始める前日までに規定を整備・周知しておく必要があります。
正社員だけでなく、パート・アルバイトなど雇用形態を問わず全ての従業員が利用できる制度であることが必要です。
不妊治療のための両立支援制度は、性別を問わず利用できる制度である必要がある。
更年期における支援制度は女性だけでもいいが、男性も利用できることが望ましい。

② 両立支援担当者の選任

従業員からの不妊治療や健康課題に関する相談に対応し、両立支援制度の利用をサポートする担当者の選任が必要になります。

ポイント
両立支援担当者は従業員からの選任でなくても事業主や社労士、産業医等の外部の専門家でも構いません。

③ 従業員の利用実績(5日 / 回以上)

対象者が制度の利用を開始してから1年以内に、合計5日(または5回)以上利用することが必要です。

ポイント【カウント方法】
同日に同一の制度を利用した場合、1回カウント
例)午前中に2時間休暇制度、午後に1時間休暇制度 ⇒ 1回とカウント

同日に別々の制度を利用した際は、2回カウント
例)午前中に在宅勤務、午後に時差出勤 ⇒ 2回とカウント

④ 対象従業員の雇用継続 

制度を利用した従業員が、制度利用開始日から申請日までの間、継続して雇用保険被保険者であることが必要です。

ポイント
支援制度そのものは全従業員が利用対象ですが、助成金の申請対象となるのは雇用保険の被保険者に限られます。

支給要件に関してのポイントは下記でまとめております。

支給金額

3つのケースすべてにおいて30万が支給されます。

各コース、1事業主あたり1回限りの支給となっております。

申請の流れ

申請の期限は対象従業員の制度利用が合計5日(回)を経過した日の翌日から2ヶ月以内です。

提出先は会社の本社を管轄する労働局雇用環境均等室となります。

主な必要書類は以下のとおりとなります。

  • 1. 支給申請書
  • 2. 支給要件確認申立書
  • 3. 就業規則の写し(制度を規定した部分)、意見書、労使協定
  •  → 10人未満の事業所は周知確認として全従業員へのメール送信や回覧、掲示、配布
  • 4. 制度の利用実績が確認できる書類(タイムカード、出勤簿、休暇申請書など)
  • 5. 雇用契約書または労働条件通知書の写し

■ おわりに

従業員が安心して長く働ける職場づくりの一環として、従業員の定着や生産性の向上にも繋がり、企業にとって重要な取り組みです。

また、企業の求人活動上のPRにもなるかと思いますので、ぜひ制度を導入し、本助成金の活用をご検討ください。

〈この記事を書いた人〉
山下 謙治
Kenji Yamashita
社会保険労務士法人 プロセスコア 代表
日越協同組合 監事
社会保険労務士・行政書士・マイケルボルダック認定コーチ
日産鮎川義塾 師範代 九州本校 塾長

社会保険労務士として人事・労務の課題解決を通じて地元熊本を中心に中小企業の経営支援20年のキャリアを持つ。従来の社会保険労務士の業務だけでなく、管理職育成を中心とした教育研修事業や評価制度導入支援を行い、経営者が抱える、組織上の悩みや課題解決の支援を行っている。得意とする業務は、起業から5年目以降の発展期における組織強化・拡大期の採用・教育・評価・処遇といった人事制度づくりの支援。

最近の講演内容
「社員の評価制度と賃金制度のあり方」 肥銀ビジネス教育株式会社主催
「欲しい人材を引き寄せる!求人募集と採用選考の見極め方セミナー」株式会社TKUヒューマン主催

給与計算業務や社会保険手続代行、労使間の法律問題、採用・組織づくりのご相談なら社会保険労務士法人プロセスコアへご相談ください!
社会保険労務士事務所への顧問契約を検討中の方はこちら
社会保険労務士法人プロセスコアの強み・主な提案内容を知りたい方はこちら