2023.03.14
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「年収〇〇円の壁」の対応方法(解決編)

「年収〇〇円の壁」の対応方法(解決編)

今回のコラムでは、前回のテーマ「年収〇〇円の壁」に差し掛かっているスタッフがいた場合の人事担当者の対応について触れたいと思います。

前回のコラムで、「年収〇〇円の壁」の説明を行いました(前回のコラムはこちら)。
「年収〇〇円の壁」とは、税法や社会保険の扶養内で働いていた方が時給が上がることで扶養から外れてしまい、税金や社会保険料の支出が増える可能性があって年収が増えても手取り額が増えない、逆に減ってしまうような状況を生んでしまうことをいい、扶養内に抑えたい場合には、勤務時間を減らす必要が出てくるとお伝えしました。

では、「年収〇〇円の壁」に差し掛かっているスタッフがいる場合の考え方のポイントに触れていきます。主に以下の3つのポイントです。

1.会社の方針を決定する
2.シュミレーションを行い、提示する
3.本人だけでなく、配偶者等家族とも協議してもらう  

事例として、現在の年収が社会保険の扶養範囲内である130万円ギリギリで収まっている従業員を昇給させる、若しくは勤務時間を増やすと年収が130万円を超えてしまうことが想定されるケースで考えていきます。

では、1.「会社の方針を決定する」について
年収130万円以上になると社会保険に加入義務が発生するので、社会保険料が発生し、おおよそ年収で150万円から160万円以上アップしないと、本人の手取り額が増えないことになります。
本人が社会保険に加入しても、今まで通りの手取り額を希望する場合、大幅に勤務時間数を増やすか時給単価をアップをさせる必要がありますが、それ以前に会社として、それだけ実際に仕事をお願いするだけの仕事量や内容があるのかをまず判断する必要もあります。要員計画として、別の人を採用して年収130万円未満の勤務を希望する従業員を増やしていった方がいいのか?コストやリクルートのしやすさ、安定した人員体制といった側面からも考えて、該当者の収入アップを図っていくか?現状維持でいくのか?方針を考えておく必要があります。

次に、2.「シュミレーションを行い、提示する」について
時給や労働時間数をいくらずつ上げたり、増やしていくと手取り額はいくら増えるのか?社会保険料や税金の金額はどのくらいずつ増えてどんなメリットがあるのか早見表をつくるなどして、一目でわかるような資料を提示しておくと便利です。
理由は、対象の従業員が具体的なイメージを明確に持っていないまま、現状と違う働き方を選択すると、条件変更後に思ったような働き方ではなかったという申し出を受ける可能性が高くなるからです。

3.の「本人だけでなく、配偶者等家族とも協議してもらう」について
年収130万円未満で働いている従業員の方の多くが、生計を同じくする配偶者がフルタイムで働き、まだ子供が小さく、育児に多くの時間を取られています。家族の協力をしっかり得ているかどうかが、働き方を変更した後、継続できるかの大きなカギとなるからです。

今回は、社会保険の扶養範囲内の年収130万円のケースでお伝えしましたが、実際様々なケースが想定されます。
企業側も働いている従業員の方も「将来像」をしっかり見据えて選択できるかがポイントとなります。
対応方法で悩まれているお客様がもしいらっしゃれば担当スタッフへ是非ご相談ください。

今回のコラムは以上です。
お読み頂き、ありがとうございました。