「36協定」と労務に関する最近の動きについて(1、2月)

「36協定」と労務に関する最近の動きについて(1、2月)

おはようございます。

社会保険労務士事務所プロセスコアの木下です。

 

寒い中にも日中はいくらか寒さもゆるんで

本格的な春の訪れが待たれる頃となりました。

さて、今回のメールマガジンは、36協定の

届出と労務管理に関するニューストピックを

ご紹介致します。

 

まずは、36協定の届出についてです。

 

36協定とは、正式には「時間外労働・休日労働

に関する協定」といいます。 労働基準法

第36条が根拠になっていることから、一般

的に「36協定」という名称で呼ばれています。

 

企業が法定労働時間を超えての労働や法定

休日に労働をさせる場合には、労使間で

36協定を締結し、「36協定届」を労働

基準監督署に届け出ることになっています。

 

この「36協定届」を労働基準監督署に届け

出ずに従業員に時間外労働や休日労働をさせ

た場合は、労働基準法違反となります。

 

「36協定届」は一度労働基準監督署に届け

出ればOKということではなく、有効期間が

ありますので、有効期間が満了する前に、

新たに締結した「36協定届」を提出する

必要があります。これまで「36協定届」を

提出されている場合、4月1日を有効期間の

起算日とされている企業が多いと思います。

年度末のお忙しい時期ではありますが、有効

期間をご確認頂き、届出漏れがないようご注

意下さい。

 

また、「36協定届」は従業員の過半数を代表

する者との協定締結となりますが、この従業員

過半数代表の選出について、適正に行われてい

るかを厳しくみられるようになりました。

これまで何の問題もなかったのだから、今更・・・

と思われる事業主様もいらっしゃると思います。

しかし、最近では、従業員から協定について異議

を唱えられて、労働基準監督署からの調査を受け

るケースが増えております。

従業員過半数代表の選出手続きが適正に行われ

ていない場合、協定届は無効となり、残業をし

ていたこと自体が法律違反となり罰則を受ける

場合もあります。会社にとっては大きなダメー

ジになりかねません。

 

こうしたことを考えれば、従業員過半数代表の

選出は、面倒ではありますが、適正に行ってお

くことが、企業防衛にも繋がることになります。

 

従業員過半数代表の選出方法や手続等について

は、労働基準監督署から周知のリーフレットが

出ております。下記のURLよりご覧頂き、

今一度選出方法等をご確認お願い致します。

↓↓↓

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000187490.pdf

 

 

それでは、労務管理等に関する最近の動きに

つきましては、下記よりご覧ください。

 

○●○最近の動き(Topics)━━━━━━━━━●○●

1.「契約社員への扶養手当不払いは違法」

  大阪地裁が初判断(2月21日)

2.「裁量労働拡大」「高プロ」の施行時期

  延期を検討 厚労省(2月20日)

3. 労働法でフリーランスの保護を検討多様  

  な働き方を後押し(2月20日)

4.年金受給開始年齢「70歳超」も可能に政府

  検討(2月16日)

5. 高校生の就職内定率91.5% バブル期の水

  まで回復(2月16日)

6.厚生労働省が転職情報サイトを運営へ

  (2月16日)

7.フリーランス契約の問題事例を公表 公取

  検討会(2月15日)

8.「親会社の責任は状況次第」セクハラで最

  高裁(2月15日)

9. 労働基準監督官 人手不足対応でOBを雇用

  へ(1月10日)

10. 高所得者の国民健康保険料 負担増へ

  (1月10日)

11. 従業員1人当たりの賃金 4年連続増の

  見通し(1月9日)

○●○━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●○●

 

1. 「契約社員への扶養手当不払いは違法」

大阪地裁が初判断(2月21日)

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日本郵便の契約社員ら8人が、同じ仕事内容

の正社員と手当等に格差があるのは労働契約

法に違反するとして計約3,100万円の損害賠

償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁は、扶養

手当など3種類の手当の不支給を違法と判断

し、計約300万円の支払いを同社に命じた。

弁護団によると、正社員と非正規社員の待遇

格差をめぐり扶養手当の不支給を違法とした

判決は初めて。同社は判決を不服として控訴

した。

 

 

2. 「裁量労働拡大」「高プロ」の施行時期延

期を検討 厚労省(2月20日)

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厚生労働省は、働き方改革関連法案に盛り込

む「裁量労働制の対象大」と「高度プロフェ

ッショナル制度の新設」について、施行時期

を1年遅らせ、2020年4月とする検討を始めた。

裁量労働制に関するデータが不適切だった問

題で国会審議が混乱しており、周知・対策等

の期間を確保し、法案成立に理解を求める構

え。

 

 

3. 労働法でフリーランスの保護を検討 

多様な働き方を後押し(2月20日)

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政府は、特定の企業や団体と雇用関係を持た

ずに働く「フリーランス」について、労働法

対象として保護する検討に入った。仕事を

注する企業側との契約内容を明確にし、報

に関しては業務ごとに最低額を設けて不安

な収入を政策で下支えする。法整備の議論

進め、2021年の法案提出を目指すとしてい

る。

 

 

4. 年金受給開始年齢「70歳超」も可能に

政府検討(2月16日)

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政府は、公的年金の受給開始時期について

「70歳超」も選べるようにする制度の検討を

盛り込んだ「高齢社会対策大綱」を閣議決定

した。今後、厚生労働省で年金の具体的な制

度設計を検討し、2020年中の関連法改正案の

国会提出を目指す。

 

 

5. 高校生の就職内定率91.5% バブル期の

水準まで回復(2月16日)

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文部科学省は、今春卒業予定で就職を希望す

る高校生の就職内定率(2017年12月末時点)

が91.5%(前年同期比0.6ポイント上昇)だ

ったと発表した。内定率の上昇は8年連続で、

バブル期の水準まで回復した。

 

 

6. 厚生労働省が転職情報サイトを運営へ

(2月16日)

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厚生労働省は経済産業省と連携し、2019年度

にも無料職業情報サイトを立ち上げることを

明らかにした。転職市場の活性化を目的とす

るもので、米国政府が運営する職業情報サイ

ト「オーネット」を参考にする。AIを活用し

て最新情報を収集・更新し、転職希望者に500

職種から最適な職業やその詳細を提示する。

 

 

7. フリーランス契約の問題事例を公表

公取委検討会(2月15日)

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公正取引委員会の有識者会議は、いわゆる

「フリーランス」など企業に比べ立場の弱い

個人の働き手を保護するため、独占禁止法を

適用する、問題のある事例を報告書として公

表した。企業側が過剰な秘密保持義務を課す

ケースや、一方的に報酬を減額するケースな

どを、優越的地位の乱用などに抵触するおそ

れがあるとした。

〔関連リンク〕

 「人材と競争政策に関する検討会」報告書

(概要)

http://www.jftc.go.jp/cprc/conference/index.files/180215zinzai02.pdf

 

 

8. 「親会社の責任は状況次第」セクハラで

最高裁(2月15日)

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グループ会社で発生した従業員間のセクハラ

について、被害の相談を受けた親会社に責任

があるかが争われた訴訟の判決で、最高裁判

所は被害女性側の訴えを退けた。親会社の責

任について「相談時の具体的状況や窓口の体

制によっては適切に対応すべき信義則上の義

務を負う」とし、今回のケースでは親会社の

責任を認めなかった。

〔関連リンク〕

 最高裁判例(平成30年2月15日、最高裁

判所第一小法廷)

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87458

 

 

9. 労働基準監督官 人手不足対応でOBを

雇用へ(1月10日)

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厚生労働省は、違法残業などの監督指導を強

化するため、2018年度から労働基準監督官の

OBを非常勤職員として雇用する考えを示した。

監督官の人手不足に対応するもので、約50人

の採用を予定している。

 

 

10. 高所得者の国民健康保険料 負担増へ

(1月10日)

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厚生労働省は、国民健康保険の保険料につい

て、2018年度から、年間の支払上限額を4万

円引き上げ、77万円にする(現在は年73万

円。平均年収1,070万円以上の人が対象)こ

とを明らかにした。一方、年収1,000万円を

下回る中所得層の保険料は引き下げる。

 

 

11. 従業員1人当たりの賃金 4年連続増の

見通し(1月9日)

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厚生労働省が11月の「毎月勤労統計調査」の

結果を発表し、2017年11月の従業員1人当

たりの現金給与総額が278,173円(前年同月

比0.9%増)となったことがわかった。2017年

1月から11月(速報値)までのうち9カ月で

前年を上回ることから、4年連続で前年比プ

ラスとなる見通し。

 

 

最後までお読み頂き、ありがとうございました。