即戦力社員の採用時の注意ポイント

即戦力社員の採用時の注意ポイント

「即戦力社員」を採用する際の注意ポイント

 

 

今回のコラムは、「即戦力社員」を採用する際の

注意ポイントについて書きたいと思います。

 

 

まず即戦力社員とは・・?明確な定義は

ありませんが、例えをあげるならば、

 

 

「管理職の経験のある人」

 

「特別な技術・資格をもっている人」

 

「実績のある営業職や技術職の人」

 

 

を一般的にいいます。

 

 

即戦力社員として採用したけれど思ったような

成果や能力が見られなかったという話をよく

聞くことがあります。

 

 

そんな時社員をすぐに解雇しても問題ないのか

というと、合理的な理由がないとして解雇した

社員から訴訟を起こされる可能性があります。

 

 

一般的には、能力不足を理由とした解雇の

有効性はなかなか認められません。

解雇無効の裁判を起こされた場合、裁判所は、

解雇する前に会社が、その社員の能力を改善

・向上させる取り組みや、配置換えなどの

措置を十分に行ったのか、という点について

厳格に判断するからです。

 

その一方、一定以上の能力があることを

前提として、高待遇で中途採用された

いわゆる、「即戦力社員」の場合は、

通常の社員よりは、解雇が認められやすいです。

 

 

ただ、そのような解雇をするためには、

採用時に、成果目標が具体的な数値として

定められているなど、会社の求める能力を

明確にしておく必要があります。

 

 

そこで、即戦力を期待して中途採用する

場合には、以下のような対策を取りましょう。

 

  1. 雇用契約書に、会社が求めている知識・技能・技術などの水準を具体的に規定し、それらが満たされなかった場合 には退職を求めることで合意しておく
  2. 知識・技能・技術などの水準を具体的に試用期間を長めに設定し、正社員と改めて選考することで合意しておく

 

ここで過去の判例をご紹介しますと、

 

≪持田製薬事件 東京高裁 昭和62年8月≫

 

・マーケティング「部長」としてマーケティングプランを策定し、特に、薬粧品の販売方法などを具体的な提案をすることを依頼して採用

 

・採用7ヶ月経っても上記に関する提案がなく、努力した形跡もなく勤務状況、勤務態度がマーケティング部長のレベルではないと判断

 

・会社は解雇し、本人は裁判所に訴えた

 

・東京地裁、東京高裁ともに企業側の「解雇は有効」

 

という判決が出ています。そして判決では、一般レベルの社員の解雇が訴訟に発展した場合争点となる、企業の「他の職種や下位のポストに配置換えする」といった事前の解雇回避努力さえ必要ないという結果が出ています。

 

この判例から、企業が即戦力社員にどのくらいのレベルの仕事を期待しているのか?企業の判断で終わらせるのでなく、書面で社員に明確にしておくことが重要だということが分かるかと思います。

 

皆様の企業では即戦力社員を採用する際に、契約書にはどのような内容を盛り込まれていらっしゃいますか?経歴がどんなに素晴らしい方でも実際に働いてもらわなければ分からないことが多いと思います。

 

即戦力社員を採用する際は、念の為、一般社員とは分けて雇用契約書を作成し、書面を交わすようにしましょう。

 

今回のコラムをお読み頂き、ありがとうございました。