社会保険労務士@山下謙治

いつもお世話になっております。
プロセスコアの山下です。

最低賃金額が変更されましたね。
( ↓ 全国の最低賃金はこちらからご確認ください。)
  地域別最低賃金の全国一覧|厚生労働省

熊本県を例にすると、令和5年10月8日から898円となります。
853円から45円↑…50円弱のUPです

今後の求人市場の動きを予想すると、

最低賃金が引き上げられる
   ↓
求人市場全体の時給平均が引き上がる
   ↓
時給単価の低い企業には人が集まりづらい傾向が高まる
   ↓
自社の初任給時の時給単価のUP検討
   ↓
UPしようとしている初任給時の時給単価よりも、
在籍する社員の時給が低い場合、企業は初任給与の金額UPを検討

という動きが発生しやすくなると思います。

この動きは今年に限ったことではなく、今後10年近く続くと考えられます。

というのも、

政府から今後10年強で最低賃金を全国平均で今の水準の1.5倍…時給1500円台に上げる方針が示されているからです。
方針通りに進むのであれば、今後も毎年50円近くの最低賃金UPが行われる可能性が高いです。
このように最低賃金が例年大きく変わる状況下では、多くの企業は、少なくとも年1回は人材を獲得したい企業間での競争下の中で、自社の求人条件が人材を獲得できるだけの金額を提示できているか検討する必要があります

そこで、今回は、企業内の最低賃金を引き上げる際の業務改善助成金という制度のご紹介です。

業務改善助成金は、設備投資や人材育成など、生産性向上に資する投資を行い、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合に、その投資費用の一部を助成する制度です。  

いくつかの要件がありますので、自社が対象になるかどうか、以下の要件をご確認ください。

中小企業・小規模事業者である
事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内である

中小企業・小規模事業者であるか否かは、以下の表をご確認ください。

事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内であるか否か

具体例をあげると

10月8日以降、最低賃金の引き上げ以降であれば、(熊本県の企業の場合、最低賃金が898円になりますので)50円以内の948円の時給単価の従業員の方が在籍する企業様が上記条件を充たすことになります。

上記①②以外にも受給要件を満たす必要がありますので、詳細は、下記に掲載の厚生労働省のリーフレットをご確認ください。

顧問契約企業様で、詳細をお知りになりたい方は、弊所担当者までご相談ください。

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== 最近の動き(Topics)===========

1. 育休の業務代替手当、中小企業向け助成額10倍増(9/8)
2. リスキリングの推進に1,468億円 厚労省24年度概算要求(8/26)
3. 「こども誰でも通園」9月に検討会設置(8/26)
4. 最低賃金「30年代半ば1,500円」 首相が目標表明(9/1)
5. 7月のバイト時給 前年同月比2.6%上昇(8/23)
6. マイナ保険証未取得者の資格確認書 上限5年に(8/4)
7. フリーランス 安衛法の対象に(8/1)
===============================

1. 育休の業務代替手当、中小企業向け助成額10倍増(9/8)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
厚生労働省は、育児休業者の仕事を代替する同僚に手当を支給する中小企業向けの
助成額を2024年度から拡充する。現在の10万円から最大125万円に増やす方針。
1カ月10万円、12カ月までを上限に育休の取得期間に応じて支給する。育休社員の
代替要員として新規に雇用した場合の助成額も引き上げる。現在は最大50万円支給
されるが、およそ3割増の最大67.5万円にする。雇用期間は最短7日から最長6カ月
以上までで、代替期間に応じた額を払う。

2. リスキリングの推進に1,468億円 厚労省24年度概算要求(8/26)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
厚生労働省は25日、来年度予算として33兆7,275億円の概算要求を発表した。
23年度予算より5,866億円の増加となった。リスキリング(学び直し)の推進に1,468億円を要求。育児や介護との両立を支える事業には200億円を求めた。中小企業や小規模事業者が賃上げしやすい環境を整えるため、生産性向上に取り組む支援に13億円を要求。非正規労働者の正社員化を進める助成金制度も拡充する。

3. 「こども誰でも通園」9月に検討会設置(8/26)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
こども家庭庁は、親の就労要件を問わず時間単位で保育園などを利用できる「こども誰でも通園制度(仮称)」の検討会を9月に設置する。小倉将信少子化相が25日の閣議後記者会見で明らかにした。利用方法や事業所ごとの実施方法などを議論し、12月に中間とりまとめを行い、来年の通常国会への法案の提出を目指す。

4. 最低賃金「30年代半ば1,500円」 首相が目標表明(9/1)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
岸田文雄首相は31日、最低賃金(時給)について、「2030年代半ばまでに全国平均が1,500円となることを目指す」と表明した。政府の「新しい資本主義実現会議」で言明。内需主導の経済成長を実現していくためには賃金および最低賃金の安定的な引上げが必要として、年内にも中小企業などが賃上げの原資を確保しやすくなるよう、価格転嫁を進めるための詳細な指針を策定すると述べた。

5. 7月のバイト時給 前年同月比2.6%上昇(8/23)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
リクルートが22日に発表した三大都市圏の7月のアルバイト・パートの募集時平均時給は、前年同月比29円(2.6%)上昇し、1,155円だった。コロナ禍が落ち着き、小売りや飲食店などのレジ業務や接客担当の時給が上昇。「販売・サービス系」では前年同月比42円(3.9%)高い1,127円、「フード系」で52円(4.9%)高い1,114円と、それぞれ過去最高を更新した。

6. マイナ保険証未取得者の資格確認書 上限5年に(8/4)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
政府は、現行の健康保険証を廃止し、マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」に移行する方針を巡り、未取得者に発行する「資格確認書」の運用を見直す。上限1年とした有効期間を5年に延長し、マイナ保険証を持たないすべての人に保険者の職権で交付する。現行の健康保険証の廃止時期を2024年秋から延期するかは判断を留保し、関連データの総点検の結果などを踏まえ、改めて検討するとみられる。

7. フリーランス 安衛法の対象に(8/1)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
厚生労働省は31日、フリーランスや個人事業主を労働安全衛生法の対象に追加する方針を示した。フリーランスらが業務上の事故で死亡、または4日以上休業するけがをした場合、仕事を発注した企業等に労働基準監督署への報告を義務付ける。違反しても罰則は設けない方針だが、是正勧告など行政指導の対象になる。今後詳細を詰め、必要な法令改正の手続きに入る。

出典:(株)日本法令 SJS Express

いつもお世話になっております。プロセスコアの山下です。

前回に続き、ミスマッチを防ぐ人材採用選考のプロセスがテーマです。

今回は、採用選考プロセスで一般的に実施されている「書類選考」や「面接選考」だけでなく、「適性検査」、「社員面談」、「経営者や採用担当者との食事会」を実施する目的(メリット)や進め方についてお伝えします。

前回のブログはこちら
 ミスマッチを防ぐ人材採用選考のプロセス(1)vol1

1.「適性検査

メリットは、大きく2つあります。

① 特定の職務を遂行できるだけの一定のスキルと能力があるかが判定できる

①を測定するためには、実際に仕事の一部をテスト的に行ってもらうのが一番です。

例えば弊所(社会保険労務士事務所)では、日常業務として給与計算を行ったり、パソコンのExcelやワードを多く使用します。
そこで、桁数の多い数字の羅列を電卓を用いてどれだけ早く正確に計算できるか?
Excelやワードで定型文書と同じものをどれだけ早く同じように作れるか?
といったテストを行います。

実施方法の大切なポイントは、向き不向きができるだけはっきり分かる仕事を切り取って、実際に作業をしてもらい、業務に適応できるだけの素養があるかないか、因子を見極めることができるテストを準備することです。

② 応募者のパーソナリティの評価ができる

応募者の性格や価値観、企業への適合性、ストレス耐性、チーム内でどのように働くかを予測することができます

主に統計データを元にした性格分析のシステムを使用することで分析が可能です。

採用選考時点での応募者の心理状態として、企業側に自分を良く見せたいという欲求があるので、検査結果を鵜吞みにはできませんが、本人独自の性格・価値観の傾向や特徴を掴む上では、大変参考になります。

採用後の育成や配置方法の参考資料にもなりますので、お勧めです。

現在は、web上から低額の料金で適性検査が簡単に受けることが出来る時代です。
弊所では、適性検査は「不適性検査スカウター」をお勧めしております。
業務提携させて頂いている白潟総合研究所株式会社様も実際に活用し、クライアント企業様に推薦している適性検査です。
ネット上で365日いつでも利用可能。2,000~3,000円程度で適性検査や定着率を図ることが出来ます。

適性検査のサイトはこちらから → 不適性検査スカウター

2.「社員面談

目的は大きく分けて2つあります。

① 採用担当者以外の第三者となる社員との面談を通じて、応募者に就職後の働き方について具体的なイメージを得てもらう

② 先輩社員自身の口から、職場の魅力や仕事を通じてどのような成長が図れるのか?話をしてもらうことで就職の動機づけを図る

実施する際のポイントは2つ。
1. 社員面談を実施することを事前に応募者に伝え、質問したいことや疑問点を事前に考えておいてもらう
2. 社員面談に対応してもらう社員の選定は、自社の業務内容をよく知り、かつ、営業が上手で人当たりの良い方や、魅力的な人物に任せる
この2点が、応募者への動機づけを図る上で重要になります。

3.「応募者の方と経営者や採用担当者の食事会

数多くのメリットがあります。

中でも一番のメリットは、応募者の面接選考ではなかなか分からない「本当の性格」や「人間性」をうかがい知ることが出来ることです。

一緒に食事を摂ることは、面接選考時のインタビュー環境とは異なり、よりリラックスした雰囲気を作り出すことができます。
これにより、応募者は自然体で接することができ、就職後の職場の人達や、顧客と対面している時にどのようなコミュニケーションを取るのかイメージが掴みやすくなります。
これに加え、応募者の対人スキルやマナー、社交性を観察する絶好の機会となりますので、接客サービス業や営業といったお客様との対話が頻繁に必要な職種にとっては、適性を見る絶好の機会です。

先述のメリットと同じくらい重要なメリットとして、経営者や採用担当者が直接企業の今後のヴィジョンや企業理念を、自分の言葉で応募者へ強く訴えることが出来ることがあげられます。

経営者がどのようなことを普段から考えているのか?
何の為に事業を行っているのか?

ホームページや求職者向けのパンフレットに書かれてある文面だけでは伝わらない熱意や温度感を、応募者にダイレクトに伝えることが出来る機会は、訴求力を高める上でも絶好の機会になります。

その他にも、メリットはたくさんあります。

まだ、食事会を実施されたご経験のない企業様は、一度実施されてみてはいかがでしょうか?

今回のコラムは以上となります。

できるだけ良い人を!と思っていても、なかなか選ぶことが出来ない状況だとお感じの企業様も多いのではないかと思います。

そのような状況下であっても、大きなミスマッチは避けたいとお考えの企業様に対して、今回のコラムでお伝えした採用選考の進め方が少しでもお役に立てば幸いです。

お読み頂き、ありがとうございました。


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== 最近の動き(Topics)===========

1. 最高裁、定年後再雇用の基本給減差戻し(7/21)
2. 介護事業所に毎年の経営報告を義務化(7/21)
3. トラックGメンを全国に配置 国交省(7/19)
4. 教員の働き方改革「是正加速」~文科白書(7/19)
5. 介護・医療・保育の人材紹介業の規制強化(7/16)
6. 最低賃金1,000円台へ 最終調整(7/27)
7. 男性の育休取得率の公表義務拡大へ(7/27)
8. 介護分野の外国人材の業務拡大を検討 厚労省(7/25)
9. 女性・シニアの就業率最多(7/22)
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1. 最高裁、定年後再雇用の基本給減差戻し(7/21)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
定年後再雇用の際に基本給を減額したことの妥当性が争われた訴訟で、最高裁第一法廷は20日、正社員と再雇用者の間の「不合理な格差」に基本給が含まれ得るとし、判断にあたっては基本給の性質や支給目的等を踏まえて考慮、評価すべきとする初判断を示した。
「基本給が定年退職時の6割を下回るのは不合理」とした二審・名古屋高裁判決については検討が不十分だとし、差し戻した。

2. 介護事業所に毎年の経営報告を義務化(7/21)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
厚労省は、来年度より、国内で介護保険サービスを提供する全事業所を対象に、収支や人件費、職員数などの経営情報を毎年報告するよう義務付ける。今年5月に成立した改正全世代型社会保障制度関連法で決まった措置。収集した情報は、物価高騰などで経営が悪化した際の支援策や職員の処遇改善策の検討に用いるとしている。

3. トラックGメンを全国に配置 国交省(7/19)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
国交省は18日、運送業の2024年問題に対応するため、21日より全国にトラックGメン(162人)を配置すると発表した。トラック事業者への聴取等を行い、長時間の荷待ちや不当な運賃設定などの問題が見つかれば、貨物自動車運送事業法により荷主や元受事業者などに対し、是正の要請や勧告を行う。改善されない場合は事業者名の公表も行う。

4. 教員の働き方改革「是正加速」~文科白書(7/19)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
文科省は、18日に公表した文部科学白書(2022年度)において、教員の時間労働の是正は喫緊の課題であるとして、働き方改革を加速させる考えを強調した。対策として、少人数学級や支援スタッフの配置、部活動の見直しを進める。
また教員確保策として、現在休止中の社会人らを対象とする教員資格認定試験について、高校教員の「情報」科目に限定し2024年度から試験を再開させる方針も示した。

5. 介護・医療・保育の人材紹介業の規制強化(7/16)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
厚労省は、介護・医療・保育の3分野での人材紹介業の規制を強化する。人材紹介会社に高い手数料を払っているにもかかわらず離職率の高いことなどが介護事業者等の経営を圧迫していることを受け、手数料の透明化や離職率の報告義務化、不当な転職勧奨の防止などを図る。今年度末までに具体的な検討を進め、順次実施する。

6. 最低賃金1,000円台へ 最終調整(7/27)
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中央最低賃金審議会は、最低賃金(時給)を全国平均で1,000円台に引き上げる方向で最終調整に入った(現在の全国平均は961円)。引上げ額は39円(前年度比4%超)となる見通しで、過去最高額となる。
28日の会合で決定をめざす。

7. 男性の育休取得率の公表義務拡大へ(7/27)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
従業員1,000人超の企業に年1回、公表を義務付けている男性の育休取得率について、政府は、300人超に広げる案を検討する。対象拡大により男性の育休取得率を2025年までに50%、2030年までに85%にする目標達成に向け、改善を後押しする考え。中小企業向けに代替要員確保の支援策も拡充する。2024年の通常国会に、育児・介護休業法の改正案提出を目指すとしている。

8. 介護分野の外国人材の業務拡大を検討 厚労省(7/25)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
厚生労働省は、外国人材が介護分野で従事できる業務を拡大する方向で就労ルールの見直しに着手する。訪問介護など、現在従事が認められていない訪問系サービスが検討対象。政府内で進められている外国人技能実習制度、特定技能制度の見直しに関する議論の最終報告を踏まえ、年内にも結論をまとめる。

9. 女性・シニアの就業率最多(7/22)
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総務省が21日に発表した2022年の就業構造基本調査によると、25~39歳の女性で働く人の割合が81.5%と過去最高を記録した。また、未就学児の育児をしている女性のうち、仕事と両立している人の割合が73.4%と過去最高だった。65~69歳男女の有業率は50.9%で初めて5割を超え、70~74歳は33.3%と過去最高を更新した。今回、本業がフリーランスの人も初めて調査したところ209万人で、その他に副業としてフリーランスで働く人は48万人いた。

出典:(株)日本法令 SJS Express

いつもお世話になっております。プロセスコアの山下です。

今回のコラムは、人材採用選考のプロセスについてです。

書類選考や面接選考や社長(経営者)面談といった合否判断のための選考段階のステップのことを「採用選考のプロセス」といいますが、今回はどのような採用プロセスを踏むと採用のミスマッチを防ぎ、良い人材の獲得に至ることができるのか?についてお伝え致します。

一般的に、①書類選考→②面接選考という2ステップは最低限踏まれている企業が多いと思います。
しかし、この2ステップだけですと、応募者から得られる情報というのはかなり限られます。

弊所の場合、合否決定まで以下の手順を踏みます。

①②のステップしか踏まれていない企業様にとっては、こんなに時間をかける必要があるのかと思われるかもしれません。

しかし、考えて頂きたいのは、採用した人材がフルタイムの正社員の場合、おそらく、少なく見積もっても給与支給は年間約300万円→3年で1,000万円の投資になります。

それに加え、3年間の所内の人材にかかる教育時間やコストまた、最近では採用一人当たりのコストは50万円~100万円が相場ともいわれています。

ミスマッチで採用後、2~3年で離職された場合、その投資額の多くは無駄になり、企業の成長も停滞します。
また、どんなに社内の教育制度が充実していたとしても、適性や能力不足が著しい場合、採用後の教育で補填することは簡単なことではありません。

上記の点を考慮すると、書類選考と面接選考だけの時間しかかけないというのは、かなり不確実性の高い先行投資を行っていると考えて良いと思います。

弊所でも、すべての応募者にこのステップを踏むわけではなく、①の書類選考の段階でストップする方もいらっしゃいますし、②の面接選考を採用には至らないと判断した場合、早めに切り上げたりとケースバイケースで対応を柔軟に変えています。

ただ、①②のステップを通過して、この人は採用しても良いかも…と思わせる人材についてはステップを省略することなく、③~⑤の段階まで進めています。

今回のコラムは以上です。
次回のコラムでは、選考プロセスの③~⑤の適性検査社員面談経営者または採用担当者との食事会について実施する目的や進め方注意点について解説します。

お読み頂き、ありがとうございました。

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== 最近の動き(Topics)===========
1. 生成AIの利活用を経営者・従業員必須のスキルに 指針改定(7/14)
2. 「職場トイレの使用制限は違法」最高裁が初判断(7/12)
3. 健康保険証、廃止後も1年有効とみなす経過措置(7/12)
4. 物価高に追いつかず5月の実質賃金は前年比1.2%減(7/8)
5. 今年度の最低賃金 議論開始(7/1)
6. 5月の有効求人倍率は低下、失業率は横ばい(7/1)
===============================

1. 生成AIの利活用を経営者・従業員必須のスキルに 指針改定(7/14)
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経済産業省は、経営者や従業員が身につけるべきDXに関する知識や技術をとりまとめた「デジタルスキル標準」(指針)を8月にも改定する。生成AI(人工知能)を加え、成立ちや基盤技術を理解すること、ビジネスへの活用事例を知ること等を記載する。本指針は企業の社内研修や社会人カリキュラムなどに反映される。

2. 「職場トイレの使用制限は違法」最高裁が初判断(7/12)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
性同一性障害の経済産業省職員が職場の女性用トイレの使用を不当に制限されているとして撤廃を求めていた訴訟で、最高裁は、使用制限に問題はないとした人事院の判定を違法と判断した。性的マイノリティの職場環境をめぐる上告審判決としては初のもの。

3. 健康保険証、廃止後も1年有効とみなす経過措置(7/12)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2024年秋にも廃止が予定されている健康保険証について、厚生労働省は11日、廃止から1年間は一律で保険証が有効となるよう対策をとる考えを示した。
2025年秋より前に有効期限が切れる国民健康保険や後期高齢者医療制度の保険証について、各保険者に対応を要請する方針。

4. 物価高に追いつかず5月の実質賃金は前年比1.2%減(7/8)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
厚労省が7日に発表した5月の毎月勤労統計調査(速報)によると、名目賃金に当たる現金給与総額は前年比2.5%増の28万3,868円だったが、物価を考慮した働き手1人当たりの実質賃金は、同1.2%減少した。減少は14カ月連続。春闘効果で賃上げ率は30年ぶりの高水準になったが、物価の伸びに追いついていない状態が続いている。

5. 今年度の最低賃金 議論開始(7/1)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
厚生労働省の中央最低賃金審議会は6月30日、今年の最低賃金の引上げ額の目安を決める議論を開始した。
今後は、7月下旬頃の同審議会による答申を踏まえて、8月頃各都道府県の地方最低賃金審議会が実際の引上げ額を決め、10月から適用される。政府が目指す初の「全国加重平均1,000円」に届くかが焦点。

6. 5月の有効求人倍率は低下、失業率は横ばい(7/1)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
厚生労働省が6月30日に発表した5月の有効求人倍率(季節調整値)が1.31倍(前月比0.01ポイント減)と、2カ月ぶりに低下した。昨年12月に1.36倍まで上昇し、今年に入り下落傾向が続くが、新規求人数は前年同月比で3.8%増えていて雇用情勢が悪化しているとはみていないとする。同日の総務省発表によると、5月の完全失業率(季節調整値)は2.6%で前月から横ばいだった。

出典:(株)日本法令 SJS Express

いつもお世話になっております。プロセスコアの山下です。

今回のコラムは、主体性を持って考える力を高めてもらうために必要なOJT指導者に取り入れて頂きたい指導のポイントについて触れたいと思います。

※OJT指導者…現場の仕事を進めながら新人の教育にあたる方

というのも、指導にあたる人が新人社員に対して入社間もない時期にどのような指導の方法をするかが成長に大きく影響するからです。

指導方法を誤ると考える力が身につかず、受け身のままになってしまいます。
極端な言い方をすれば、思考が停止してしまったような社員を育ててしまう危険性もあります。

そこで、今回は指導における大切なポイントを3つに絞ってお伝えします。

  1. 1. 考え方として「育てる」のではなく、「育つ」
  2. 2. 答えをすぐ与えない
  3. 3. 参画意識をもたせる

では、一つずつ解説していきます。

1.基本の考え方として「育てる」のではなく、「育つ

・・・これはどういう意味かといいますと、指導者の「自分が育てなければ!」という思いから丁寧に1から10まで教え過ぎてしまい、社員に主体的に考える機会や失敗する機会を奪ってしまうことがあります。
指導に当たる人の役割は、1から10まで教えることではなく、どうやったら自分で考えて育っていくことができるのか?その為の「環境づくり」を考えることが大きな役割だと考えなければいけません。

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2.答えをすぐ与えない

・・・・指導にあたる人と新人社員の日常の会話の中で、どれだけ1.で触れた「育つ機会」を作れるかということが非常に重要になります。

その為には、様々なケースが考えられますが、基本の方針としては新人社員が仕事の進め方で分からない時や困っている時にすぐ答えを教えず、考えさせることです。
答えをすぐに教えてしまうと、新人社員は上司に質問すればすぐに答えを教えてもらえると認識して、また別の問題が起きたとしても自分で考えることなく、すぐ上司に答えを求めてしまいます。
また、上司に答えをもらい、その通り対応をすればもし間違っていた場合でも、自分の責任という認識が弱くなるので、失敗を自分ごととして捉えることもなく、成長の機会を奪ってしまいます

社員から質問があった時に、安易に答えを教えるのではなく、ぐっと我慢して「どうすれば良いと思う?」であったり、「〇〇さんはどう思いますか?」といった質問を投げかけて、本人の考えを聞いてから、必要なアドバイスを行うことが重要になります。
また、具体的な対策や方法といった回答を伝えることよりも、その回答にいたった考え方(判断に至った企業の価値観や背景、経緯)を伝えることも重要です。

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3.参画意識を持たせる

・・・新人社員に、入社して間もない頃からできるだけ自分自身のことだけでなく、部や課といったチームや何かのプロジェクト、会社全体の課題について改善案を求めて参画意識をもってもらうことも大切です。
どちらかというと、新人社員は経験が浅いからといった理由で、チーム全体のことを自分事として捉える機会が少なくなりがちです。

結果として、周りから必要とされているといった認識は弱くなり、組織全体の課題についての参画意識も薄く、やらされ感だけで仕事をやる状態を助長させてしまいます。

何か小さなテーマでも良いので、常に自分の仕事や自分以外の職場の課題について改善案を定期的に求める機会をつくるようにしましょう。

今回のコラムは以上です。
新人の教育指導にあたる方の指導の進め方の参考になれば幸いです。
お読み頂き、ありがとうございました。

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== 最近の動き(Topics)===========
1.  2028年度までに雇用保険対象者拡大(5/26)
2. 特定技能2号11分野に拡大(5/24)
3. 個人宅配ドライバーの半数以上が荷主から違反原因行為(5/23)
4. マイナンバー法等改正案 成立(6/2)
5. 荷待ち時間の削減、荷主の義務に(6/2)
6. 育児中の従業員に対する短時間・在宅勤務の拡充を検討(5/31) 
===============================

1.  2028年度までに雇用保険対象者拡大(5/26)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
政府は、週所定労働時間20時間未満で働く人も失業給付や育児休業給付等を受け取れるよう、6月に閣議決定する「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)」に、2028年度までの雇用保険の対象者の拡大を盛り込む見通し。
まずは雇用保険法を改正し、細かい条件は労働政策審議会にて議論のうえ、周知と準備の期間をかけて進める。

2. 特定技能2号11分野に拡大(5/24)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
自民党は23日、在留期間の上限がない在留資格「特定技能2号」の対象分野を追加し、2分野から11分野に拡大する政府案を了承した。追加対象となるのはビルクリーニング、宿泊、農業、飲食料品製造業などで、いずれも現在1号の対象となっている。政府は6月にも閣議決定し、方針を定めた後、法務省令改正で対象を追加する方針。

3. 個人宅配ドライバーの半数以上が荷主から違反原因行為(5/23)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
国土交通省による軽貨物運送事業者向けの初の実態調査で、回答した772人のうち、54%に当たる414人が、荷主から法令違反の原因となる行為を受けていたことがわかった。
内訳は「長時間拘束につながる多量の荷物の依頼」285件、「適正運行では間に合わない到着時間の指定」194件、「過積載の強要」129件など。

4. マイナンバー法等改正案 成立(6/2)
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2024年秋に現行の健康保険証を原則廃止し、マイナンバーカードに一体化させることなどを盛り込んだマイナンバー法など関連法改正案が、2日の参議院本会議で可決・成立した。その他改正案には、年金受給者の預貯金口座とマイナンバーを紐付ける新制度や、マイナンバーを行政利用できる範囲の拡大等が盛り込まれている。

5. 荷待ち時間の削減、荷主の義務に(6/2)
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運送業における荷待ち時間について、政府は、荷主企業への規制を強化し、削減に取り組むよう義務付ける。一定以上の物流量を抱える荷主企業には、トラック運転手の負担軽減に向けた計画策定を義務付け、国への定期報告も要請するほか、物流に関する管理責任者の任命も求める。関連法の改正案を2024年の通常国会に提出する。

6. 育児中の従業員に対する短時間・在宅勤務の拡充を検討(5/31)
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厚生労働省は、31日、3歳以上の未就学児を育てる従業員が短時間勤務や在宅勤務など複数から選べる制度を創設することや、残業免除の期間を子が小学校就学まで延長することを含む報告書案を示した。3歳未満の子を持つ親については希望があればテレワークを認めることを企業の努力義務とする。子の看護休暇も、対象年齢拡大や取得事由の拡充、名称の変更を検討する。

出典:(株)日本法令 SJS Express

お世話になっております。プロセスコアの山下です。

今回のコラムでは、「チャレンジ役職制度」について触れたいと思います。
チャレンジ役職制度とは、まだ組織内での役職としての経験がない人に対して一定期間の見習い期間として役職の業務についてもらい、その仕事内容に従事することで仕事内容を理解してもらったり、能力を高めることを目的にした制度です。また役職業務への適性があるのか、本人も企業側も判断するための猶予期間としても活用される制度です。

企業経営者の方からの人事相談で、社員を役職に任命したものの、思ったような働きぶりが見られず、降格を検討しているが、本人のモチベーション低下や周りへの影響を考慮してなかなか伝えづらい、といったご相談を受けることがあります。チャレンジ役職制度は、そのような事態を未然に防ぐ効果もあります。

では、どのように運用をするかというと、以下の手順で作成していきます。

まずチャレンジ期間から正規の管理職に昇格するための要件を整理します。

以下、簡単な参考例です。

次に、管理職の昇進要件の中からいくつか(全てでも良い)選んでおき、一定期間(1~2年)以内にその要件を満たせば正規の管理職への昇進する(肩書からチャレンジが取れる)が、満たすことが出来なければ、チャレンジ管理職ではなくなる(降格ではなく、1回目のチャレンジ終了)という立て付けにします。

このような制度設計にすることで、一度だめでも再チャレンジすることが出来ます。(何回再チャレンジができるかは会社での設計次第です。)
また、企業側も思い切った人事がしやすくなり、社員としても心理的ハードルが下がり、役職業務へのチャレンジがしやすくなります。

以下、その他のチャレンジ役職制度のイメージ例です。
役職者候補の選定の際に、ぜひご参考ください。

今回のコラムは以上です。お読み頂き、ありがとうございました。

(参考図書…白潟総合研究所株式会社 代表取締役社長 白潟 敏朗 著書「中小ベンチャーを壊す!人事評価制度の17の大間違い」