「子ども・子育て支援金制度」と企業実務への影響

2026年4月から「子ども・子育て支援金制度」が始まります。
少子化と人口減少が加速するなか、政府は2023年10月にこども未来戦略「加速化プラン」を策定し、総額3.6兆円規模の子育て支援拡充を打ち出しました。本制度は、その重要な財源のひとつとして創設されるものです。
本コラムでは、制度の概要と企業の実務対応について分かりやすく整理します。
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■ 子ども・子育て支援金制度とは
「子ども・子育て支援金制度」は、子育て支援策の拡充に必要な費用を全ての世代や企業のみなさまから支援金を拠出いただき、子育て施策の拡充に充てるもので、こどもや子育て世帯を社会全体で支える制度です。
将来の社会保障や経済を支える世代への投資という位置づけであり、子育て世帯だけでなく、社会全体にとっての基盤づくりといえます。
■ 支援金の使途
支援金は、児童手当の拡充や妊婦のための支援給付など、子育て支援策を抜本的に強化するための財源として使用されます。
具体的な子育て支援の拡充内容については、以下を参考にしてください。

出典|こども家庭庁『子ども・子育て支援金制度のQ&A』Q2(一部抜粋して掲載)
■ 既存の「子ども・子育て拠出金」との違い
名称が似ているため混同しやすいですが、次のような違いがあります。
① 子ども・子育て拠出金制度(既存)
- • 厚生年金保険料とあわせて徴収
- • 企業が全額負担
- • 従業員の給与からは控除されない
② 子ども・子育て支援金制度(新設)
- • 医療保険料(健康保険・共済組合など)とあわせて徴収
- • 企業と従業員が折半負担
従業員の手取り額に直接影響する点が、実務上の大きなポイントです。
■ 支援金額(給与からの控除金額)の計算方法
健康保険に加入している従業員様の給与控除金額について解説します。
2026年度の支援金率は 0.23%(国が一律に設定)。
計算方法は以下のとおりです。
標準報酬月額 × 0.23% ÷ 2(従業員負担分)
※ 企業も同額を負担します。
例えば、標準報酬月額30万円の場合
30万円 × 0.23% = 690円
その半額の 約345円が従業員負担(月額) となります。
※国民健康保険や後期高齢者医療制度加入者は計算方法が異なるため、各保険者へ確認して下さい。
■ 企業の実務対応
① 控除開始時期
- • 2026年4月分(5月納付分)から開始
- • 給与・賞与ともに対象
- • 産前産後休業・育児休業中は免除
給与明細への内訳表示は法的義務ではありませんが、制度趣旨を踏まえ、表示することが望ましいとされています。
② 納付の流れ
- • 従業員負担分を給与から控除
- • 企業負担分と合わせて保険者へ納付
- • 健康保険料と一括納付
納入告知書に「支援金額」が新たに記載される予定です。

出典|こども家庭庁『子ども・子育て支援金の概要について』P3(一部抜粋して掲載)
③ 従業員への事前周知
支援金の徴収が開始されることによって、従業員の毎月の手取り額も減少します。
国の制度とはいえ、従業員に支援金徴収が始まることを事前に周知しておくことが必要です。
特に、短時間労働者を含む社会保険加入者は全員対象となるため、誤解や不信感を生まないよう、早めのアナウンスが求められます。
■ おわりに
急速に進む少子化は、子育て世帯だけの問題ではなく、社会全体の持続性に関わる重要課題です。
子どもたちは将来、経済や社会保障を支える存在になります。
その基盤づくりを社会全体で担う仕組みとして、本制度は導入されます。
「未来への投資を支える一員である」という視点を持ちながら、丁寧な制度運用を進めていくことが重要です。
制度開始までに、準備と周知を着実に進めていきましょう。
〈この記事を書いた人〉
山下 謙治
Kenji Yamashita
社会保険労務士法人 プロセスコア 代表
日越協同組合 監事
社会保険労務士・行政書士・マイケルボルダック認定コーチ
日産鮎川義塾 師範代 九州本校 塾長
社会保険労務士として人事・労務の課題解決を通じて地元熊本を中心に中小企業の経営支援20年のキャリアを持つ。従来の社会保険労務士の業務だけでなく、管理職育成を中心とした教育研修事業や評価制度導入支援を行い、経営者が抱える、組織上の悩みや課題解決の支援を行っている。得意とする業務は、起業から5年目以降の発展期における組織強化・拡大期の採用・教育・評価・処遇といった人事制度づくりの支援。
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