世界最大級のテクノロジーイベントを視察してきました

皆様、明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いします。
今回は通常の労務関連のコラムとは少し趣向を変え、視察旅行のレポートをお届けしたいと思います。
今年1月5日から10日まで6日間かけて、私が所属する経営者向けの勉強会仲間と一緒にCESに参加してきました。
CESとは、毎年1月にアメリカ・ラスベガスで開催される、世界最大級のテクノロジー展示会のこと。
「5〜10年先に世の中を変える技術・ビジネスの“予告編”が集まる場所」と言われているイベントです。
私の参加目的は、自分の職場(社会保険労務士事務所)での働き方について、テクノロジーが進歩する5年後の未来を見越して、今後の方針を決める上での参考にすることです。
どう変わる必要があるのか?そもそも仕事がなくなるのでは?
そして、関与先企業様の働き方にどんな影響が出るのか?提案できるものがないか?
このような視点で参加してきましたが、情報量が多すぎて咀嚼するのが大変なくらい収穫の多い視察旅行でした。
貴重な経験や知識を得る機会でしたので、皆様に共有させて頂きたいと思います。
目次 [閉じる]
開催都市ラスベガスのスケールの大きさに驚き
展示会はもちろんすごかったのですが、開催地のラスベガスという都市のスケールの大きさにも驚きました。
人口60万人と熊本市とそれほど変わらない人口の都市でありながら、年間の延べ観光客数が4,000万人!
この数字は日本全体の年間延べ観光客数と変わらない規模です。
もともとは砂漠地帯であったラスベガスが、何もないところから100年近くの月日でこれだけの商業都市に変貌したという成長のスピード感、勢いにびっくりしました。
ラスベガスの都市の始まりは、砂漠地帯に位置しており水源を確保する必要があったため、オアシスの近くでダム建設が始まり、多くの建設業者が集まったことから。
その後、税収を確保する目的からカジノ営業が合法化され、高級ホテルの建設ラッシュが進みました。
こうしてラスベガスは、アメリカ全土、さらには世界中から人が集まるエンターテイメントの街へと変貌していきました。
砂漠地帯のオアシスをどう活かすか?
そこにあるリソースを最大限活かそうとする人々の思いや、実現する力の凄さを改めて感じました。
CESイベントブースを回って
CESは出展数も桁違いに多く、例年4,500以上出展。
来場者数は14万人も集まる大イベントです。
会場がいくつかのエリアに分かれており、1日平均2万歩(15㌔)近く歩きました。
イベント視察3日目には膝痛がでてきて、足を引きずりながら回ることに(汗)
出展ブースは様々で、家電製品だけでなく、生成AIやロボティクス、モビリティーやヘルスケア、サステナビリティ(脱炭素・省エネ)、また運送、農業、建設、介護、製造業など業種別の人手不足や作業負担を削減する為のロボットや自動運転機械、車、分析システムなど様々展示されていました。
こういったツールがもっと普及すれば、関与先企業様の人手不足による負担も楽になるのではないか?と思える製品が沢山ありました。
特に印象に残ったのは、自動運転トラック。
2024年に実際にアメリカの公道で既に利用されているそうです。
日本でも早くこういった車が利用できるような環境が整えばいいなと思いました。

自動運転トラック

医療手術用の遠隔ロボット

腰痛を予防するパワードスーツや重たいものを持ち上げる為のスーツもありました。

人が操縦運転できるドローン
AIが実態社会にどんどん入り込んでくる時代
展示ブースを見ていて、全体的に多いと感じたものは、以下のものです。
- ・AIを活用して
┗人体の動きを補助する(動きが弱くなっている人を助ける)
┗人体の動きを強化する(重いものを動かす、何度でも繰り返す)
┗人や物を運ぶ(自動運転車)
┗工場を制御する - ・AI 活用のためのデータを取るデバイス
- ・スマートグラス
- ・スマートウォッチ
- ・ドローン(人が乗れるくらいの大きいものから小さいものまで)
- ・E-ink 液晶(アマゾンは液晶の表面に特殊な加工をしてE-ink のように見せていた)
- ・その他センサーなどの専用部品
AI そのものを売りにしている展示もありましたが、AI を使って様々なものを制御する展示が多かったです。
また、AI のためにデータを収集するデバイスの展示も多く、実態社会のインフラとして、AI がどんどん活用される時代になっていくことが想像出来ました。
AIが私達の働き方をどう変える?
展示会ではセミナーも同時に開催されており、「AIの進歩により仕事の進め方をどう変えるべきか?仕事の再構築」というテーマのセミナーもありました。
印象に残った点を共有します。
重要と思えたポイント
AIの利点が強調されるが、人間ならではのスキルもある
- 1.コミュニティーや組織を理解し、内容を調整するリーダーシップ
(人間の感情や意図とのバランスを図る) - 2.センシティブな内容についての人への説明
(病気など相手の感情に配慮しながら伝えなければいけない内容)
AIを効果的に仕事に取り入れるための取り組みの流れ
- 1.情報セキュリティ対策の為の取り扱いルールやシステム環境の設計
- 2.従業員教育⋯ メリットを十分に理解してもらい、一部の人だけが使用するのでなく、全員で利用する
- 3.ワークフローの再構築
- 4.反復的な作業を自動化 → 問題解決や創造性に頭脳を再投入
企業が今後取り組んでいくべき課題
AIを既存の業務支援に積極的に活用できている人とそうでない人で2極化する傾向があり、企業はAIを使うことでメリットがあることを理解してもらえるような研修企画、AIはあくまで業務サポートの役割で、最終決定を間違わない為の経験・総合判断力(経験知や、意思 決定、行動するに至った価値観、判断基準となる哲学)を養う反復学習を継続して実施することが重要。
また、それを推進する為の人材確保や育成。
人事部が積極的にAI活用に関わっていく必要があることも示唆されていました。
印象に残った講師の言葉
- ・AIを恐れてはいけない。
カメラが初めて世に出てきた時代に、芸術は必要無くなるといわれていたが、芸術はなくならなかった。(選択肢が増えただけ) - ・AIを使える人とAIを使えない人の2種類に分かれる。
- ・AIによって仕事がなくなるのではなく、AIを使えない人の仕事がなくなる
- ・「健全な懐疑心」も必要。
幻覚(ハルシネーション)を起こす非決定的なシステム
これからなくなる仕事、なくならない仕事(所感)
ブースやセミナーを回る中で、ホワイトカラー(事務系のデスクワーク)については、報告や連絡・相談などもchatworkやSlackに埋め込まれたAIエージェントが、指示を出せば勝手に仕事をしてくれる時代が近づいていることを感じました。
その反面、出展ブースが少なかったのは建設や看護や介護といった業種です。
複雑な作業や定型化しづらい様々なケースが想定される仕事、危険度が高かったり生命に関する仕事は人を補助するようなロボットやAIを活用したシステムは普及するが、仕事そのものが代替できるかというと難しい分野であることがよく分かりました。
感情のニュアンスや、複雑な人間関係の調整については、AIではなく人にやってもらいたいというニーズがある部分なのでしょう。
特に、1対1、または1対多数でのコミュニケーションが求められる場面
- 営業・交渉・カウンセリングやメンタリング・組織文化づくり
- 社外ステークホルダーとの信頼構築
- “言語化されていないモヤモヤ”の汲み取り
このような「人と人との間で起こる熱量の受け取り、伝播」といった部分は、人間ならではの能力であり、「人間力」「影響力」という抽象的な言葉で表される能力が重宝され、より磨いていくことが求められる時代だと思いました。
また、指示待ちでなく、自ら主体的に動ける人(受信でなく、発信ができる人)、人の意見に流されず自分で考え判断できる人、コミュニティーの調整役が出来て、相手のタイプや状況を汲み取ってコミュニケーションが取れる人、その上で、生成AIを抵抗感なく、活用できる人が企業の組織内で求められる時代だと思います。
最後に
視察旅行を通して、海外に定期的に行った方が良いと改めて思いました。
特に若い人は無理してでも海外にどんどん出ていかなければいけない時代だと再認識というか、正直危機感を持ちました。
というのも、出展企業ブースの日本企業の数が指で数えるくらいしかなく、イノベーションアワードという賞があるのですが日本は7件獲得、お隣の韓国は200件以上獲得。
技術立国日本という言葉は・・・???と思わざるを得ない残念な光景が広がっていました。
あと、喜んでいいのか微妙でしたが、、、
帰りに成田空港で、うどんとコーヒーのセットを1,000円ちょっとの価格で頂きましたが、ラスベガスで2~3倍の値段に慣れると安い!!と思えるマジック。
値段を高いと感じるか安いと感じるかは相対的なものだと思いましたし、日本円の価値が低下していることを実感しました。
円安はご存知のとおり輸出では良い面もありますが、行き過ぎると国民全体の可処分所得の低下、企業のコスト増、技術者の海外流出、国全体がどんどん貧しくなるジリ貧状態に向かっていきます。
全体を考えると、賃上げは一人の経営者として大事なことだと改めて思いました。
これまで以上に厳しい環境の変化が予想されますが、企業の付加価値を高める、顧客数を増やす、求職者から選ばれ、長く働きたいと思える職場をつくる、そういったことに今まで以上に注力することが、生き残りに不可欠な取り組みだと身が引き締まる思いになった視察旅行でした。
レポートは以上となります。
記事の内容が少しでも今後の企業活動においての気付きやプラスになれば幸いです。
お読み頂き、ありがとうございました。
〈この記事を書いた人〉
山下 謙治
Kenji Yamashita
社会保険労務士法人 プロセスコア 代表
日越協同組合 監事
社会保険労務士・行政書士・マイケルボルダック認定コーチ
日産鮎川義塾 師範代 九州本校 塾長
社会保険労務士として人事・労務の課題解決を通じて地元熊本を中心に中小企業の経営支援20年のキャリアを持つ。従来の社会保険労務士の業務だけでなく、管理職育成を中心とした教育研修事業や評価制度導入支援を行い、経営者が抱える、組織上の悩みや課題解決の支援を行っている。得意とする業務は、起業から5年目以降の発展期における組織強化・拡大期の採用・教育・評価・処遇といった人事制度づくりの支援。
最近の講演内容
「社員の評価制度と賃金制度のあり方」 肥銀ビジネス教育株式会社主催
「欲しい人材を引き寄せる!求人募集と採用選考の見極め方セミナー」株式会社TKUヒューマン主催

給与計算業務や社会保険手続代行、労使間の法律問題、採用・組織づくりのご相談なら社会保険労務士法人プロセスコアへご相談ください!
社会保険労務士事務所への顧問契約を検討中の方はこちら
社会保険労務士法人プロセスコアの強み・主な提案内容を知りたい方はこちら

