労務に関する最近の動きについて(8月、9月)

おはようございます。
社会保険労務士事務所プロセスコアの木下です。
長かった酷暑もようやく去って、朝夕は涼しく
過ごしやすくなり、風の中にも秋の気配を感じる
季節となりました
さて、今回のメールマガジンは、労務に関する
最近の動きをご紹介致します。
記事の中の一つ、
「厚生年金、パート適用拡大へ(8月27日)」
ついてご説明します。
これは、短時間労働者への厚生年金の適用拡大が
決まったのではなく、この9月に社会保障審議会
に検討会が設置された段階で、これから議論が行
われていきます。
では、現状の短時間労働者の厚生年金加入要件等
はどのようになっているかについてご説明します。
厚生年金の加入要件は、
「1週の所定労働時間および1月の所定労働日数
が常時雇用者(フルタイム)の4分の3以上」
となっています。
ですから、労働時間、労働日数のどちらかが
4分の3未満ですと、被保険者とはなりません。
ですが、平成28年10月以降4分の3未満の短時間
労働者に対し、適用拡大が進められてきました。
平成28年10月~
被保険者数が501人以上の企業で、月収8.8万円
以上等の要件を満たす短時間労働者は被保険者
となります。
平成29年4月~
被保険者数が500人以下の企業であって、労使
の合意があれば、月収8.8万円以上等の要件を
満たす短時間労働者は、被保険者となります。
※労使の合意とは・・・
厚生年金の被保険者等の2分1以上と、事業主が
社会保険に加入することついて合意することです。
では、今回短時間労働者の適用拡大について
どのような議論が行われているかといいますと、
まず1点目は賃金の月額の変更です。
現在、月額8.8万円以上という要件がありますが、
この金額の引き下げです。
2点目は、企業規模要件の引き下げまたは撤廃
です。現在は、500人以下の企業の場合、労使
間で合意することが要件となっています。つま
り合意がなければ、4分の3未満の短時間労働者
は被保険者とはなりません。もし、企業規模要
件が撤廃されますと、企業規模に関係なく要件
を満たせば被保険者としなければなりません。
ただ、これはこのような議論がなされていると
いうことであって、今後どのようになるかはま
だわかりません。課題も様々あり、適用拡大に
伴う、事業主の保険料負担増も課題の一つです。
今後の動きについて、具体的に決まりましたら
メールマガジンにてお伝えしてまいります。
○●○最近の動き(Topics)━━━━●○●
1. 「70歳雇用」実現に向け高齢者就労促進施
策を検討~政府方針(9月6日)
2. 「就活指針廃止」について政府・大学と
協議 経団連方針(9月5日)
3. 社会保障給付費が過去最高(8月31日)
4. 厚生年金、パート適用拡大へ(8月27日)
5. 「働き方改革法」施行対応に支援体制を
強化(8月23日)
6. 働きやすい介護事業所を評価 認定制度
を導入(8月22日)
7. 障害者雇用助成金を短時間勤務にも適用
(8月15日)
8. 非正規の約3割「自分の都合のよい時間
に働きたいから」(8月8日)
9. 違法残業 45%で確認(8月8日)
10. 勤務間インターバル制度に助成金方針
(8月7日)
11. 看護事業所の3分の2で人手不足4年連
続で増加(8月7日)
○●○━━━━━━━━━━━━━━●○●
1. 「70歳雇用」実現に向け高齢者就労促進施
策を検討~政府方針(9月6日)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
政府は、原則70歳まで働き続けることができ
るよう、環境整備を始める。高齢者雇用に積極
的な企業への補助金の拡充、高齢者が働くイ
ンセンティブを高めるために評価・報酬体系
の官民での見直しを行うとともに、高年齢者
雇用安定法を改正し継続雇用年齢を徐々に70
歳にまで引き上げる方針。今秋から本格的な
検討に入る。
2. 「就活指針廃止」について政府・大学と
協議 経団連方針(9月5日)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
経団連は、中西宏明会長が就活指針廃止の意
向を表明したことを受け、近く幹部で議論を
詰めて政府や大学側との協議に入る方針を固
めた。あわせて、新卒一括採用・終身雇用とい
った日本型雇用慣行の見直しについても議論
する考え。
3. 社会保障給付費が過去最高(8月31日)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
国立社会保障・人口問題研究所は、2016年度
の社会保障給付費について、前年度と比べ
1.3%増え、116兆9,027億円だったと発表し
た。高齢化に伴う医療費や介護費の増加が影
響し、過去最高を更新した。
4. 厚生年金、パート適用拡大へ(8月27日)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
厚生労働省が、厚生年金に加入するパート労
働者の適用対象を拡大することを検討してい
ることがわかった。パート労働者の月収要件
を、現在の8.8万円から6.8万円に緩和する
ことなどが軸。9月にも社会保障審議会に検
討会を設置する。
5. 「働き方改革法」施行対応に支援体制を
強化(8月23日)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
厚生労働省は、2019年度に企業の労務管理な
どの対応にあたる専門拠点の人員を700人前
後で対応し、3倍強に増やす。全都道府県に設
置されている「働き方改革推進支援センター」
で社労士や中小企業診断士を常駐させ、同年
度から始まる働き方改革関連法への対応のた
め中小企業への支援体制を強化する。
6. 働きやすい介護事業所を評価 認定制度
を導入(8月22日)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
厚生労働省は、2019年度から介護事業所の認
定制度を始めることを明らかにした。職員の
人材育成や職場環境の改善のために、キャリ
アパスの仕組みや休暇取得、育児・介護へのサ
ポート、資格取得への支援制度の有無などを
評価する。
7. 障害者雇用助成金を短時間勤務にも適用
(8月15日)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
厚生労働省は、現在は企業が週20時間以上勤
務の障害者を雇用する場合に支払っている障
害者雇用助成金について、週20時間未満の短
時間勤務の場合でも支払う方針を決めた。法
定雇用率が今年4月に2%から2.2%に引き
上げられ、雇用に含める対象に精神障害者が
加わったため、長時間の労働が難しい症状を
抱える人たちの雇用を後押しするのが狙い。
8. 非正規の約3割「自分の都合のよい時間
に働きたいから」(8月8日)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
7日に公表された総務省労働力調査の詳細集
計で、非正規雇用は2,095万人と前年同期よ
り4%多いことがわかった。役員を除く雇用
者に占める非正規の職員・従業員の割合は
37.6%。非正規で働く理由を「自分の都合のよ
い時間に働きたいから」と回答した人が29.9
%で最も多く、前年同期比70万人増。人手不
足を受け、待遇改善が進んだことが大きいと
見られる。16年10月からのパート労働者へ
の厚生年金適用拡大による加入者数は18年3
月時点で38万2,841人と、想定の25万人を
上回っている。
9. 違法残業 45%で確認(8月8日)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
厚生労働省は、2017年度に長時間労働が疑わ
れた2万5,676事業所への立入調査で、約45
%の1万1,592カ所で労使協定の上限時間を
超えて働かせるなどの違反を確認したと発表
した。このうち74%に当たる8,592カ所では、
「過労死ライン」とされる月80時間超の時間
外労働が確認された。
10. 勤務間インターバル制度に助成金方針
(8月7日)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
厚生労働省が、時間外労働等改善助成金を拡
充し、中小企業の勤務間インターバル制度の
導入に助成金を支給する方針を決めた。2019
年度予算の概算要求に費用を盛り込む。助成
額は、新たに制度を導入する場合は、休息時間
11時間以上で1企業当たり100万円、9時間
以上11時間未満は80万円とする方向で、制
度を導入済みでも休息時間を延長した場合は
助成するとしている。
11. 看護事業所の3分の2で人手不足 4年
連続で増加(8月7日)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「介護労働安定センター」の介護労働実態調
査(2017年度)の結果によると、介護事業所
の66.6%(前年度比4.0ポイント増)で人手
不足を感じていることが明らかになった。こ
のうち88.5%の事業所が「採用が困難」を理
由に挙げた。また、既に外国人労働者がいる事
業所は5.4%にとどまり、「活用する予定がる」
と答えたのは15.9%だった。受入方法につい
ては、「技能実習生」(51.9%)が最多で、「経
済連携協定(EPA)」が39.5%となった。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。