2025.08.19
組織づくり

評価面談でモチベーションを下げないためのフィードバック法

評価面談でモチベーションを下げないためのフィードバック法

多くの中小企業の経営者や人事担当者様が評価面談の際、良いフィードバックならともくかく悪いフィードバックをすると相手の機嫌を損ねるのではないか?その後の関係がぎくしゃくするのではないか?といった不安を感じる方もいらっしゃると思います。

特に中小企業では、上司と部下の距離が近い分、フィードバックに感情が入りやすく、相手から「ダメ出し」や「叱責」として受け止められることも少なくありません。


そこで今回は、部下に納得し、前向きに受け止めてもらうフィードバックの手法についてご紹介したいと思います。

世界的に活用されているフィードバックの型『SBI法』をご紹介します。

1.SBI法とは?

SBI法は、Situation(状況)Behavior(行動)Impact(影響)の3つの要素でフィードバックを構成する方法です。

アメリカの人材開発会社で開発されたもので、欧米の企業研修やマネジメント教育で広く使われています。

構成はとてもシンプルです。

  • 1.  S:Situation(状況)
    いつ、どこで、どんな場面だったのかを具体的に伝える
     
  • 2.  B:Behavior(行動)
    そのとき相手がとった行動や発言を、事実ベースで伝える
     
  • 3.  I:Impact(影響)
    その行動がチームや業務にどんな影響を与えたのかを説明する
     

【例】 プロジェクト進捗管理が不十分なケース
S(状況)

 「先月の新製品開発プロジェクトで、5月15日の中間報告会までの進捗確認の段階で」
B(行動)

 「あなたからのタスク進捗の共有が予定日より3日遅れ、しかも内容が一部未確定のままでした」
I(影響)

 「そのため、デザイン担当や品質管理チームの作業が着手できず、全体のスケジュールが1週間遅れる要因になりました」

文章にまとめると、こうなります。

「先月の新製品開発プロジェクトで、5月15日の中間報告会までの進捗確認の段階で、あなたからのタスク進捗の共有が予定より3日遅れ、しかも内容が未確定の部分がありました。

そのため、デザインや品質管理チームの着手が遅れ、全体スケジュールが1週間遅れる原因になりました。」

次に、上司の見解と相手の認識を必ず確認しながら進めます

【例】
「私はこのように受け止めていますが、あなたはどう思いますか?」
「私の理解とあなたの認識に違いがないか、確認させてください」

これにより、一方的な押しつけではなく、双方向の対話として面談が進み、納得感と信頼関係が高まります。

2.効果的に活用するためには

SBI法は構造がシンプルなため、形だけ真似しても効果が薄くなることがあります。

特に経営者や管理職が意識すべきポイントは、以下の2つです。

1. 期待から伝える

改善点や課題をいきなり突きつけられると、人は防衛反応を示します。
そこで、最初に相手への期待を伝えることが効果的です。

SBI法で伝える前に、

【例】
あなたには今後様々なプロジェクトで中心的な役割を担ってほしいと思っています
「これまでの成果や取り組みは評価しています」

といったように、期待を先に言うことで、相手は「自分は信頼されている」と感じ、フィードバックを前向きに受け止めやすくなります。

2. 相手の成長を信じている気持ちを伝えること

フィードバックは「相手を責める場」ではなく、「成長を促す場」です。

伝え方次第で、同じ指摘でも相手のモチベーションは大きく変わります。

相手に伝える前に、相手を否定する気持ちが入っていないか?心から相手の成長を願って伝えたいのか?自分自身を問いただすことが重要です。

以下のような言葉かけが有効です。

【例】
「今回の件は改善が必要ですが、あなたなら次はもっと良くできると信じています」
「これをきっかけに、さらにスキルを高めてほしいと思っています」

この一言を添えることは、相手は「自分は見捨てられていない」と感じさせ、改善への意欲が湧きたたせることに繋がります。

3.まとめ

繰り返しにはなりますが、評価面談で最も避けたいのは、部下がやる気をなくして面談を終えることです。

そのためには、以下のポイントを抑えることが大切です。

  • 1.期待を伝える
  • 2.要望・改善点を事実ベースで伝える(SBI法)
  • 3.相手の成長を信じるメッセージで締める

また、重たい内容ほどしっかり準備することが大切です。

面談当日に思いつきで話すのではなく、事前にフィードバックのシナリオを作り、練習して臨むことをお勧めします。

評価面談を単なる評価伝達はなく、社員のやる気を引き出す場に変えることが、組織力を高める第一歩です。

フィードバックは、伝達者側にとっては心理的ストレスもかかりますが、相手の成長を願って伝えていきましょう。

今回のコラムは以上です。
お読み頂き、ありがとうございました。

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〈この記事を書いた人〉
山下 謙治
Kenji Yamashita
社会保険労務士法人 プロセスコア 代表
日越協同組合 監事
社会保険労務士・行政書士・マイケルボルダック認定コーチ
日産鮎川義塾 師範代 九州本校 塾長

社会保険労務士として人事・労務の課題解決を通じて地元熊本を中心に中小企業の経営支援20年のキャリアを持つ。従来の社会保険労務士の業務だけでなく、管理職育成を中心とした教育研修事業や評価制度導入支援を行い、経営者が抱える、組織上の悩みや課題解決の支援を行っている。得意とする業務は、起業から5年目以降の発展期における組織強化・拡大期の採用・教育・評価・処遇といった人事制度づくりの支援。

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