最新労務関連情報1月~2月
おはようございます。プロセスコアの山下です。
今回のメールマガジンは、最近の労務関係に関する
法改正等の情報の紹介です。
トピックは以下のとおり
◯平成27年度雇用保険料率変更なし
平成26年度の雇用保険料率は、弾力条項を適用し、一般の事業で1.35%、農林水産清酒製造の事業で1.55%、建設の事業で1.65%となっているが、官報において、来年度(平成27年4月1日から平成28年3月31日)についてもこの料率で変更なしとの厚生労働省より発表があった。
◯中小企業における月60時間超の50%割増は平成31年度より適用へ
1月16日に開催された、労働政策審議会労働条件分科会において、注目を集めている今後の労働時間法制等の在り方について(報告書案)が示された。
・中小企業において特に長時間労働者比率が高い業種を中心に、関係行政機関や業界団体等との連携の下、長時間労働の抑制に向けた環境整備を進めることが適当である。
・上記の環境整備を図りつつ、中小企業労働者の長時間労働を抑制し、その健康確保等を図る観点から月60 時間を超える時間外労働の割増賃金率を5割以上とする労働基準法第37 条第1項ただし書きの規定について、中小企業事業主にも適用することが適当である。
・中小企業の経営環境の現状に照らし、上記改正の施行時期は他の法改正事項の施行の3年後となる平成31年度とすることが適当である。
このように中小企業における月60時間超の50%割増は平成31年度より適用の方向となっている。過重労働に基づく健康障害の防止を進めるため、今後、様々な長時間労働対策が打ち出される見込みとなっているが、時間外割増賃金の増加という観点でも規制が強化されることになる。
◯協会けんぽの来年度の保険料率は1ヶ月遅れの4月分(5月納付分)から変更の見通し
協会けんぽの健康保険料率は、例年、3月分(4月納付分)から変更となっているが、平成27年度の料率は、政府予算案の編成が遅れたことに伴い、4月分(5月納付分)から変更となる見通しであり、料率の見通しについては、2月下旬に告知するスケジュールが立てられている。
◯建設業の社会保険未加入対策をさらに強化へ(2月13日)
建設業の社会保険未加入問題に関して、非加入企業を入札から締め出す取組みを強化することが、国土交通省の建設産業活性化会議で明らかとなった。国発注の工事では2014年8月より元請と一次下請を加入企業に限定する取組みが実施済みであるが、地方自治体が発注する工事についても同様の措置を求める。
また、公共工事標準請負契約約款の改正も検討する。
◯国民健康保険 2013年度赤字額は3,139億円(1月29日)
厚生労働省は、自営業者らが加入し市町村が運営する国民健康保険の2013年度における赤字額が3,139億円(前年度比85億円増)となったと発表した。高齢化により医療費や後期高齢者医療制度への拠出金が増加していることが要因。
◯4月から介護報酬改定へ(2月6日)
厚生労働省が2015年度から適用される介護報酬を発表し、全体では2.27%の引下げとなることがわかった。認知症や中重度者向けのサービスを充実させた場合は加算を手厚くする。また、人材不足の状況を踏まえ、介護職員の待遇改善で労働環境の改善や研修を行った場合は、職員の賃金を1人当たり月12,000円引き上げる。介護報酬は3年ごとに見直しが行われるが、マイナス改定となるのは9年ぶり。
◯介護職員による虐待が過去最多(2月7日)
厚生労働省の調査で、2013年度に通報があった高齢者への虐待数1万5,952件(前年度比3.9%増)のうち、介護施設職員らによる虐待数が221件(前年度比42.6%増)で過去最多となったことがわかった。
原因は、「教育・知識・介護技術などに関する問題」(66.3%)が最も多く、「職員のストレスや感情コントロールの問題」(26.4%)が続いた。同省は、介護施設での虐待の未然防止や早期発見、迅速な対応を求める局長通知を都道府県知事宛に発出した。
〔関連リンク〕
高齢者虐待の防止、高齢者の擁護者に対する支援等に関する法律に基づく対応の強化について
◯介護職が「外国人技能実習制度」の対象に(1月24日)
厚生労働省は、外国人が働きながら技能を学ぶ「外国人技能実習制度」の対象職種を介護分野にも広げる方針を決定した。受入期間は、現行の最長3年から5年へと延長する。一定の日本語能力がある人が条件で、実習場所も特別養護老人ホームなどに限定して訪問介護は認めない考え。通常国会に関連法案を提出し、2015年度中の受入れ開始を目指す。
〔関連リンク〕
外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会中間まとめ案
特に注目すべき点は、現在中小企業で猶予され
ている時間外労働が60時間を超えた場合の法定
割増率が25%から50%に引き上げる措置が中小
企業にも適用する案が労働政策審議会で進められ
ていることです。
また、年次有給休暇の取得率が低迷している実態を
踏まえ、年次有給休暇の取得が確実に進むよう、
年◯日間(3日という案がでているようです。)
の年次有給休暇の時季指定を使用者に義務付ける
案も検討が進められています。
上記の法改正の内容を総体的に見ると、
今まで以上に労働時間短縮の動き、コンプライ
アンス遵守の強化、少子高齢化による社会保険
料の取締の強化や保険料負担増が予想されます。
今まで以上に外的な環境に影響を受けない
強い企業体質が求められる時代といえます。
また、労働力不足による外国人労働者受入を
進めるための規制緩和の動きも進んでいます。
今回取り上げた法改正案の動向については
進捗が進み次第、メールマガジンでご報告したいと
考えております。
今回のメールマガジンは以上です。
お読み頂き、ありがとうございました。