【法改正情報】「本年4月からの法改正」と労務に関する最近の動きについて

【法改正情報】「本年4月からの法改正」と労務に関する最近の動きについて

おはようございます。

社会保険労務士事務所プロセスコアの木下です。

今年は暖冬のせいでしょうか、春の訪れも早い

ようですね。

 

さて、今回のメールマガジンでは、本年4月

(または3月)より改正となります以下の

3点についてお知らせ致します。

 

1 働き方改革関連法の施行

2 在職老齢年金の支給停止基準額の引き上げ

3 協会けんぽの健康保険料率、介護保険料率

    の引上げ(平成31年3月より適用)

 

まずは、

「働き方改革関連法の施行」についてです。

 

本年4月より施行となる改正内容で、中小企業

に関連する主なものは以下の2つです。

一つ目は、年5日の年次有給休暇取得の義務

二つ目は、労働時間の状況を客観的に把握す

る義務

です。

 

「年5日の年次有給休暇取得の義務」につい

ては、本年4月以降に年休が10日以上付与さ

れる従業員に対し、付与日から1年以内に年休

5取得させなければなりません。

対象者には管理監督者や有期雇用労働者も

まれます。

また、年休取得の義務化に伴い、「年次有給

暇管理簿」を作成し、3年間保存しなけれ

ばなりません。

 

二つ目の「労働時間の状況を客観的に把握す

務」については、管理職を含むすべての従

員に対し、原則として、タイムカードやICカー

ド、パソコンの使用時間の記録等にて、従業員

の労働日ごとの出退勤時刻を記録し把握しなけ

ればなりません。これは、労働者の健康管理の

観点から改正となりました。

 

次に、「在職老齢年金の支給停止基準額の引き

上げ」についてです。

お仕事をしながら、年金を受給する場合、一定

額以上の収入がある場合は、年金の全部また

一部が支給停止となります。

その支給停止の基準となる、

・60 歳台前半(60 歳~64 歳)の支給停止調

 整変更額

・60 歳台後半(65 歳~69 歳)と70 歳以降

 の支給停止調整額

が、これまでの46万円から47 万円に引き上げ

られます。

 

60 歳台前半と60 歳台後半と70 歳以降では

年金の調整方法が異なります。

詳細については、下記の日本年金機構のホー

ムページにてご確認頂けます。

<日本年金機構 在職中の年金>

https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/zaishoku/20140421.html

 

最後になりますが、「協会けんぽの健康保険料

率、介護保険料率の引上げ」についてです。

熊本県においては、健康保険料率が10.13%か

ら10.18%に、介護保険料が1.57%から1.73%

に引き上げられます。

社会保険料の控除を当月控除とされている企

業においては、3月支給の給与より保険料が変

更となりますので、ご注意下さい。

平成31年度保険料額表は以下よりご確認頂けます。

 

http://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat330/sb3150/h31/h31ryougakuhyou3gatukara

 

働き方改革に関する法改正の施行日まで余す

ところ1ヶ月となりました。企業の業種や勤務

体系などにより、運用には様々な課題がある

かと思います。具体的に、どのように年休を

取得させればよいのか、労働時間の把握はど

のようにすればいいのか等、方法や手順につ

いてわからないことなどございましたら、

弊所または担当者までどうぞご相談下さい。

 

 

○●○最近の動き(Topics)━━━━━━━●○●

1. 公的年金の運用 過去最大14.8兆円の赤字

 (2月2日)

2. マイナンバーと戸籍情報連携に向け法改正

 (2月2日)

3. 外国人の起業希望者に新たな資格「特定活

  動」(1月19日)

4. 大卒内定率87.9%と8年連続増に(1月19日)

5. 技能実習 認定取消し(1月26日)

6. 外国人労働者 最多の146万人(1月26日)

7. 厚労省「年金開始75歳まで、年金受取額2倍」

  検討開始(1月26日)

8. 教員の働き方改革 中央教育審議会が答申

  (1月26日)

9. 扶養家族の要件変更へ健康保険法改正案概要

  まとまる(1月18日)

10.  就業者2040年に2割減 厚労省推計(1月16日)

11.  中小企業の申請負担減 政府方針(1月15日)

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1. 公的年金の運用 過去最大14.8兆円の赤字

 (2月2日)

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公的年金を運用する年金積立金管理運用独立

行政法人(GPIF)は、2018年10〜12月期

運用実績が14兆8,039億円の赤字になった

表した。世界的な株安が原因で、四半期ベ

スでの赤字幅は過去最大。ただ、今回の短

的な運用結果が年金財政や年金給付に影響

与えることはないとされている。

 

 

2. マイナンバーと戸籍情報連携に向け法改正

 (2月2日)

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法務省の法制審議会は、1日、マイナンバー

度と戸籍情報を連携させる戸籍法等の見直

案をまとめた。案には、連携によりマイナ

ンバーを示せば年金請求等戸籍証明書の提出

が必要な社会保障分野の手続きについて提出

が不要になること、本籍地以外でも戸籍証明

書を取得しやすくなること等が盛り込まれて

いる。通常国会に関連法案を提出し、2023年

4月からの連携開始を目指している。

 

 

3. 外国人の起業希望者に新たな資格「特定

  活動」(1月19日)

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政府は、外国人の起業を支援するため、留学後

に起業を希望する者に「特定活動」の在留資格

を与え、最長1年の滞在延長を認める。従来は

外国人留学生が卒業すると「留学」の在留資格

を失うため、起業するには留学中に起業し「経

営・管理」の在留資格を取得する必要があった

が、要件が厳しかった。新制度では起業の準備

期間を1年にして自治体の支援も手厚くし、

日本で働く外国人材を積極活用する方針。

 

 

4. 大卒内定率87.9%と8年連続増に(1月19日)

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文部科学省と厚生労働省との調査で、2019年

春に卒業予定の大学生の就職内定率が87.9%

(昨年12月1日時点)であったことがわかっ

た。前年同期を1.9ポイント上回り、8年連

の上昇となった。

 

 

5. 技能実習 認定取消し(1月26日)

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法務省、厚生労働省は、三菱自動車やパナソニ

ックなどの4社について、技能実習法に基づ

き技能実習計画の認定を取り消したと発表し

た。三菱自は実習計画と異なる作業をさせた

こと、パナソニックは労働関係法令に違反し

ていたことが問題とされた。4社は今後5年

間実習生の受け入れができなくなり、4月か

ら導入される「特定技能」の外国人も受け入

ができなくなる可能性が高い。

 

 

6. 外国人労働者 最多の146万人(1月26日)

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厚生労働省は、2018年10月時点の国内で働

く外国人労働者が146万463人(前年比14%

増)と過去最高だったことを発表した。国籍

の割合では中国(27%)、ベトナム(22%)、

ィリピン(11%)と続き、特にベトナムは

前年比32%増と大幅に増加した。

 

 

7. 厚労省「年金開始75歳まで、年金受取額

  2倍」検討開始(1月26日)

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厚生労働省は、公的年金の受給開始年齢を75

歳まで繰り下げられるようにする検討に入っ

た。毎月の年金額を65歳開始に比べて2倍程

度とする方向。2020年中に関連法改正案の国

会提出を目指すとしている。

 

 

8. 教員の働き方改革 中央教育審議会が答申

  (1月26日)

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教員の働き方改革を検討してきた中央教育審

議会は、長時間労働の解消などに向けた対策

を盛り込んだ答申を文部科学相に提出した。

時間外勤務の上限を「月45時間、年360時間」

としたガイドラインを提示したほか、年単位

の変形労働時間制を自治体が導入できるよう

にすることなども盛り込んだ。2020年度以降

の実施を目指す。

 

 

9. 扶養家族の要件変更へ健康保険法改正案

  概要まとまる(1月18日)

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厚生労働省は17日、外国人労働者の受入れ拡

大に伴い、健康保険から給付を受けられる扶

養家族の要件を、「原則、日本に居住してい

こと」とする健康保険法などの改正案の概

を公表した。今月末召集予定の通常国会に

案提出をめざす。施行は2020年4月1日を

定。

 

 

10.  就業者2040年に2割減 厚労省推計

  (1月16日)

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厚生労働省が初めて2040年の労働力人口の推

計を公表し、経済が成長せず働く高齢者や女

性が増えない場合、2040年の労働力人口は

2017年実績から1,300万人近く減って2割減

なるとした。また、2040年は高齢者人口が

ークを迎える時期にあたり、就業者に占め

65歳以上の割合が2割近くになるとした。

 

 

11.   中小企業の申請負担減 政府方針

  (1月15日)

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政府は、行政手続を簡素化するために、社会

険と補助金の手続きをオンライン申請でき

システムを開発する。事務の負担感が強い

小企業を中心に省力化につなげる狙い。ま

た、電子署名方式ではなく、ID/パスワー

ド方式を導入する。新方針は、中小・小規模

企業の長時間労働の是正を検討している関係

省庁の作業部会が2月にまとめる。

 

 

最後までお読み頂き、ありがとうございました。