意思決定の円滑化 と 管理職を育てる職務権限制度
いつもお世話になっております。プロセスコアの山下です。
今回のコラムは、
「社員から報告や相談がなく、権限を超えて業務進められることが多い…」
そんな悩みを抱える企業経営者や管理職の方に向けたコラムです。
組織体制で事業を行っている企業の多くは、殆どの場合、1人ではできない業務量を抱えられています。一から十まで判断が伴う業務に対して、従業員の方が回答を上司やトップに求めていたら、スピードが落ちて、業務に支障をきたす可能性があります。
そのようなことにならないように、思い切って従業員の方々に業務の判断を任せていく必要がありますが、何から何まで任せてしまったままで、今度は報告を求めずにいると、企業として適切な意思決定ができないような状況を招いてしまう危険性があります。
そのような状況を防ぐ解決策の代表的なものの一つとして「職務の権限の明確化」が上げられます。
例えば、部や課といったグループごとに長をおいた場合に、部長又は課長、役職者以外の人は
・どこまで自分の裁量で決定して遂行して良いのか?
・どんなことについてはトップ・上司に報告をしなければいけないか?
・どんなことについては承認を得なければ進めてはいけないのか?等々
決定、報告や承認を求める業務を一覧表にして明文化して社内に周知しておくことで、コミュニケーション上のトラブルやロス、責任の所在が曖昧になることを防ぐことが出来ます。
ではどんな事案を自己の裁量で決定でき、上司への報告や承認を得るのか?基準が重要になると思いますが、この点は明確な答えがあるわけではなく、企業ごとに、構成する組織メンバーによっても柔軟に変更を加えていく必要があります。
考え方の一般的な例を上げますと、
「一定の教育を通じて判断があまり難しくなく反復・継続的な業務は個人の裁量に任せる」
「判断が伴う業務でも、トップでなくても一定のキャリアを持つ者であれば自己の裁量で対応出来るものは、適任者や管理職等に任せる(報告の仕方や頻度は内容に合わせて行う)」
「管理職であっても判断が難しい・事案の決定が企業の内外に与える影響が大きい案件・遡って修正が難しい案件(中長期的な目標設定等や価格決定等)は承認を求める(どのように進めたいか?トップではなく、管理職にまず考えてもらう)」
運用上の注意ポイントとして、中間管理職が組織上のトップと全従業員のハブ役として機能させる場合、トップと管理職の意思疎通(トップがどんな組織にしたいと考えているのか?その為にどんな情報を収集・発信したいと考えているのか?)の頻度や量が鍵になります。日頃からのコミュニケーションの量が、管理職自身がどの情報を上司に報告した方が良いのか?ケースごとにトップはどのように判断するのか?考え、判断力を磨く機会となり、管理職の成長を促進させます。
今回のコラムは以上です。お読み頂き、有難うございました。