労務に関する最近の動きについて(9月から10月)
おはようございます。
社会保険労務士事務所プロセスコアの木下です。
今回のメールマガジンは、
9月下旬から10月までの労務関係の
ニューストピックをご紹介します。
○●○最近の動き(Topics)━━━━━━━━━○●○
1. 70歳以上も雇用する企業が最多に
(10月27日)
2. 「企業負担3,000億円増」待機児童対策で
政府要請(10月25日)
3. 「個人事業主などの働き方」実態調査へ
厚労省(10月24日)
4. 「賃上げで人材確保」 66.1%の中小企業が
賃上げを実施(10月23日)
5. 「控除」見直しの議論が本格化 「税額控除」
の導入目指す(10月23日)
6. 法人所得が7年連続増 過去最高額に
(10月19日)
7. 「年末調整の電子化」2020年に実現へ 政府
税調方針(10月17日)
8. 減少した残業代の従業員への還元を呼び掛け
経団連(10月4日)
9. 8月の有効求人倍率 高水準を維持(10月2日)
10. 厚生年金保険料率が上限に(9月30日)
11.「労働経済白書」発表 ~AI進化でも人手不足
続く?(9月30日)
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1. 70歳以上も雇用する企業が最多に(10月27 日)
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厚生労働省が平成29年の「高年齢者の雇用状
況」を発表し、70歳以上も働くことができる
企業の割合(今年6月時点)が22.6%で、比較
できる平成21年以降で最多となったことがわ
かった。同省では、高年齢者雇用安定法で義務
付けている65歳までの雇用確保措置を実施し
ていない企業に対して、都道府県労働局など
による計画的かつ重点的な個別指導を実施し
ていくとしている。
〔参考リンク〕
平成29年「高年齢者の雇用状況」集計結果
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000182200.html
2. 「企業負担3,000億円増」待機児童対策で
政府要請(10月25日)
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政府は、待機児童対策として、企業に約3,000
億円の負担を求める検討を始めた。児童手当
や企業主導型保育所整備等のために企業が負
担している事業主拠出金について、2018年度
からの3年間で、現行の賃金総額の0.23%か
ら0.45%まで段階的に料率を引き上げる方針。
年末までに経済界と調整し、来年の通常国会
での関連法の改正を目指す。
3. 「個人事業主などの働き方」実態調査へ
厚労省(10月24日)
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厚生労働省は、特定の企業と雇用契約を結ん
でいない個人事業主などの働き方に関する有
識者研究会を立ち上げた。労働者保護の仕組
みから外れているため問題も生じていること
から、今後、働き方の実態を把握するため具
体的な職種や働く時間等の調査も行ったうえ
で、法改正の必要性について検討を進める。
4. 「賃上げで人材確保」
66.1%の中小企業が賃上げを実施(10月23日)
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経済産業省が「中小企業の雇用状況に関する
調査」の結果を発表し、2017年度は中小企業
の66.1%(前年度比7.1ポイント増)が正社員
の賃上げに取り組んだことがわかった。賃上
げの理由(複数回答)は「人材の採用・従業
員の引き留め」が49.2%で最も多く、人手不足
が深刻になるなか、賃上げにより人材確保を
目指す動向が浮彫りとなった。
5. 「控除」見直しの議論が本格化 「税額控除」
の導入目指す(10月23日)
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政府税制調査会において、所得税の負担を軽
くする控除方式の見直しの検討が始まった。
相対的に高所得層ほど税負担が軽くなる現行
の所得控除を見直し、低所得層の税負担を軽
減する「税額控除」を導入すること等につい
て意見交換が行われた。今後議論を深め、来
年度の税制改正大綱への明記を目指す。
6. 法人所得が7年連続増 過去最高額に
(10月19日)
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国税庁が、2016年度に決算期を迎え今年7月
末までに税務申告があった法人の所得総額が、
過去最高の63兆4,749億円となったことを明ら
かにした。昨年度から3.2%増加して7年連続
の上昇。建設業やサービス業が特に伸びた。
7. 「年末調整の電子化」2020年に実現へ
政府税調方針(10月17日)
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政府税制調査会は、年末調整の手続きを電子
化する方針を確認した。従業員は金融機関か
ら住宅ローン控除や生命保険料控除の電子証
明書を受け取り、これらをもとに国税庁の専
用サイトで電子申告書を作成し、勤務先に提
出。企業も税務署への申請はネット上で行う。
2018年度の税制改正大綱に盛り込まれる見込
みで、2020年にも実現したい考え。
8. 減少した残業代の従業員への還元を呼び掛け
経団連(10月4日)
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経団連は、働き方改革によって残業代が減少
しても給与が大幅に減らないよう、従業員へ
還元する対応を企業に呼び掛ける方針を示し
た。大和総研の試算では 残業が月平均60時
間に抑制されると残業代が最大で年間8.5兆円
減少するとされており、働き方改革を経済の
好循環につなげたい経団連では、来年1月に
まとめる経営側の基本方針に還元方法を示す
としている。
9. 8月の有効求人倍率 高水準を維持(10月2日)
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厚生労働省は、8月の有効求人倍率(季節調
整値)が1.52倍だったと発表し、1974年2月
以来の高水準となった前月と同じとなったこ
とがわかった。総務省は同月の完全失業率
(季節調整値)が2.8%だったと発表した。
こちらも前月と同様の数値。
10. 厚生年金保険料率が上限に(9月30日)
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厚生年金の保険料率が10月の納付分から上
がり、2004年の年金改革で設けられた上限の
18.3%に達した。今後は固定されることにな
り、限られたお金を世代間でどう分配してい
くかが課題となる。
〔関連リンク〕
保険料額表(平成29年9月分~)(日本年金機構)
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo-gaku/gakuhyo/20170822.html
11. 「労働経済白書」発表 ~AI進化でも人手
不足続く?(9月30日)
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厚生労働省が「2017年版労働経済白書」を発
表し、人工知能(AI)やロボットによる自動
化が進んでも、人手不足は解消しないという
見方が示された。自動化により働き口は減る
が、それ以上に労働力人口が減るため。技術
者や介護職など専門技能やコミュニケーショ
ン能力が求められる仕事は増えるが、工場の
ラインでの仕事や単純な事務作業は大幅に減
るとし、労働力人口は225万人減少すると分
析している。
〔関連リンク〕
平成29年版 労働経済の分析(厚生労省)
http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/17/17-1.html
今回のメールマガジンは以上です。
お読み頂き、ありがとうございました。