「新年度の助成金情報」と労務に関する最近の動きについて
おはようございます。
社会保険労務士事務所プロセスコアの木下です。
空は青く澄み、おだやかな毎日がつづいていま
す。春到来ですね。
さて、今回のメールマガジンでは、働き方
改革関連法施行に伴う助成金についてご紹介
致します。
4月より働き方改革関連法の一部が施行され
ることから、対応のために様々な取り組みを
検討されたり、または、どのような運用を行
っていけばよいのか苦慮されている企業も多
いのではないかと思います。
厚生労働省も、スムーズに運用ができるよ
う支援に力を注いでおり、その一つには、助
成金の創設や変更があります。
先日、首相官邸にて「第8回中小企業・小
規模事業者の長時間労働是正・生産性向上と
人材確保に関するワーキンググループ」が開
催され、働き方改革に関するテーマがとり上
げられており、公開された資料の中に、2019
年度の助成金に関するものがありますのでご
紹介します。
働き方改革につながる助成金はこれまでも
ありましたが、平成31年度(2019年度)に創
設される助成金として「人材確保等支援助成
金(働き方改革支援コース)」が挙げられて
います。概要は以下のとおりです。
<概要>
働き方改革に取り組む上で、人材を確保す
ることが必要な中小企業事業主が、新たに労
働者を雇い入れ、一定の雇用管理改善を図る
場合に助成される。
<対象事業主>
以下の要件を満たす中小企業事業主
・時間外労働等改善助成金(時間外労働上限
設定コース、勤務間インターバル導入コース、
職場意識改善コース)の支給を受けたこと
・新たに労働者を雇い入れ、雇用管理改善の
ための計画を策定し、一定の雇用管理改善に
取り組むこと
要件となる時間外労働等改善助成金の中で、
最も利用しやすい「勤務間インターバル導入
コース」についてご紹介させて頂きます。
「勤務間インターバル導入コース」とは、
勤務終了後、次の勤務までに一定時間以上の
「休息時間」を設けることで、働く方の生活
時間や睡眠時間を確保し、健康保持や過重労
働の防止などに取り組む企業に対し支給され
ます。(2018年度の受付は終了しております。)
新年度の要件等詳細が決まりましたら、改め
てお知らせ致します。
2018年度の制度の概略につきましては、下記
のリンクよりご覧になれますので参考下さい。
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000202724.pdf
<助成金額>
・雇入れた労働者一人当たり60万円(短時間
労働者の場合は40万円)
※10名までの人員増を上限・生産性要件を満
たした場合、追加的に労働者一人当たり15万
円(短時間労働者の場合は10万円)
詳しい要件は今後、公開されることになる
かと思いますが、働き方改革のために人材を
雇入れようと考えていらっしゃる企業は、利
用を検討してもよいかも知れません。
今回ご紹介した助成金も含め、その他の助
成金につきましても、創設や拡充など詳しい
内容が決定されましたら、メールマガジン等
でご紹介致します。
助成金の活用等のご相談については、弊所
または担当スタッフまでどうぞご相談下さい。
○●○最近の動き(Topics)━━━━━━━━●○●
1. 「特定技能」で働く外国人労働者の運用要
領公表(3月21日)
2. 勤務医の労務管理 全8,300病院で点検
(3月18日)
3. 介護実習生の日本語能力緩和基準へ
(3月16日)
4. 賃金構造統計の不正調査 8日にも報告書
公表(3月8日)
5. 「働きやすさ」開示を義務化 厚労省方針
(3月6日)
6. 外国人労働者受入れについて自治体・企業
と意見交換〜法務省(3月1日)
7. 企業主導型保育所の参入要件を厳格化
(2月26日)
8. 昨年の実質賃金 速報値と変わらず
0.2%増 (2月23日)
9. 勤務医残業 上限の特例は年1,860時間
(2月21日)
10. 技能実習生も登録義務化 建設キャリア
アップシステム(2月17日)
11. 公的医療保険の扶養家族の要件を見直し
2020年4月施行方針(2月15日)
○●○━━━━━━━━━━━━━━━━━━●○●
1. 「特定技能」で働く外国人労働者の運用要
領公表(3月21日)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
法務省は、「特定技能」で働く外国人労働者
の受入れに向け、企業側の支援内容を具体的
に盛り込んだ運用要領を公表した。現金自動
預け払い機(ATM)の使い方やごみの分別方
法、喫煙のルールなど、日本の生活について
8時間以上のガイダンスを行うことを義務付け
た。また、外国人が住居を借りる際、企業が
連帯保証人となるほか、1人あたり7.5平方メ
ートル以上の部屋を確保することが義務付け
られている。
2. 勤務医の労務管理 全8,300病院で点検
(3月18日)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
厚生労働省は、勤務医の労働時間問題の対策
を進めるため、全国の病院を対象に、労働基
準法に基づく勤務医の労務管理ができている
かを点検する。4月にも全国8千超あるすべて
の病院を対象に回答を求める。不適切な実態
が明らかになった場合は、各都道府県に設置
された「医療勤務環境改善支援センター」が
対応を支援し、支援を受けても状況が改善し
ない場合は、労働基準監督署による指導を実
施することも検討する。
3. 介護実習生の日本語能力緩和基準へ
(3月16日)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
厚労省は、介護分野の技能実習生の日本語能
力の要件を緩和するよう基準を改正し、実習
生の受入れ拡大を目指すことがわかった。1年
後にN3(日常会話を理解できる)に合格でき
なくても、さらに2年間の在留を認め、N4(や
やゆっくりの日常会話を理解できる)のまま
でも計3年間は滞在できるようになる。3月
中に告示が出る予定。
4. 賃金構造統計の不正調査 8日にも報告
書公表(3月8日)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
厚生労働省の統計不正問題のうち、長年にわ
たりルールを逸脱した郵送による調査が行わ
れていた「賃金構造基本統計調査」について、
検証を進めてきた総務省は、報告書を取りま
とめ8日にも公表する方針を固めた。郵送へ
の切替えの具体的な開始時期・経緯はわから
なかったもようだが、厚労省は今後、関係す
る職員を処分する方向で検討を進めている。
5.「働きやすさ」開示を義務化 厚労省方針
(3月6日)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
厚生労働省は、従業員301人以上の企業を対
象に、育児休業や有給休暇の取得率、平均残
業時間等「従業員の働きやすさ」を測る指標
の開示を義務付ける方針を固めた。企業に働
き方改革を促すことがねらい。今国会に提出
予定の女性活躍推進法改正案に盛り込み、
2020年度の開始を目指す。
6. 外国人労働者受入れについて自治体・企業
と意見交換〜法務省(3月1日)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
法務省は4月から施行の改正入管法に基づく
外国人労働者の受入れ拡大に合わせ、自治体
や企業と意見交換を始めることを明らかにし
た。懇談会等の場で担当者の悩みや要望など
を聞き取る。また、外国人を対象に全国アン
ケートを行い、新たな支援策を検討する。
7. 企業主導型保育所の参入要件を厳格化
(2月26日)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
政府は、定員割れや早期の閉鎖などが問題と
なっている企業主導型保育所の改善策の骨子
案を明らかにした。新規開設する保育事業者
には5年以上の事業実績があることを条件と
し、定員20人以上の施設は保育士の割合を
50%から75%に引き上げるなど参入要件を厳
しくする。2019年度からの実施を目指すとし
ている。
8. 昨年の実質賃金 速報値と変わらず
0.2%増 (2月23日)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
厚生労働省は2018年の毎日勤労統計の確報値
を発表した。名目賃金から物価変動の影響を
除いた実質賃金は前年比0.2%増、現金給与総
額(名目賃金)は前年比1.4%増で速報値と同
じだった。また、同省は毎月勤労統計の不適
切調査問題を巡り、有識者検討会を実施し、
実質賃金の参考値の算出と公表の可否につい
て議論した。
9. 勤務医残業 上限の特例は年1,860時間
(2月21日)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2024年度から勤務医に適用される残業の罰則
つき上限について、厚生労働省は検討会で、
地域医療の確保に必要な場合は「年1,860時間」
とすると提案した。その場合、連続勤務時間
を28時間以下、次の勤務までの休息時間を9時
間以上とする。研修医など技能向上のために
集中的な診療が必要な医師への上限も年1,860
時間。一般勤務医の上限は、一般労働者と同じ
年960時間となる。
10. 技能実習生も登録義務化 建設キャリア
アップシステム(2月17日)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
国土交通省は、4月から本格導入される建設
キャリアアップシステムへの登録について、
新しい在留資格である「特定技能」で働く外
国人に加えて、建設現場で働く外国人技能実
習生についても登録を義務付ける予定。現在
働いている実習生は対象外とし、7月頃から新
規に受け入れる実習生を対象とする。対象を
広げることで外国人労働者の待遇改善を促す。
11. 公的医療保険の扶養家族の要件を見直し
2020年4月施行方針(2月15日)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
政府は、健康保険法等の改正案を閣議決定し、
健康保険組合、協会けんぽの加入者の扶養家
族の対象を、原則国内居住者に限定すること
とした。留学や海外赴任への同行など一時的
な国外子中は例外として扶養家族にできるこ
と、厚生年金加入者の配偶者の受給資格要件
に一定期間の国内居住を追加することなども
規定する。国民健康保険については加入資格
の確認を徹底するとしている。2020年4月施
行の方針。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。