ビジネススキル・マインド

はじめに

今回のコラムは、令和8年10月1日に施行が予定されている同一労働同一賃金の新ガイドラインについて解説します。

賞与や退職金など、正社員とパートタイム労働者・有期雇用労働者・派遣労働者の待遇差について、これまで以上に明確な説明義務(支給の目的・職務内容や配置転換の範囲等)が求められます。

待遇差が「不合理」であると判断された場合には、労働者から損害賠償請求を受けるリスクもあります。

実際に企業が賠償責任を負うケースもあり、企業のブランドイメージや信頼性にも深刻な影響を及ぼしかねません。

知らないでは済まされない大きな改正ポイントです。

中小企業の経営者・人事担当者、ぜひご確認ください。

目次 [閉じる]

1.同一労働同一賃金とは?

同一労働同一賃金とは、正社員とパートタイム労働者・有期雇用労働者、派遣労働者との間で、不合理な待遇差を設けることを禁止する考え方です。

2020年4月(中小企業は2021年4月)から本格施行されたパートタイム・有期雇用労働法により、「基本給」「賞与」「各種手当」「福利厚生」などについて、雇用形態のみを理由とした不合理な格差は禁止されています。

重要なのは「同じ賃金にしなければならない」という制度ではなく、「待遇差がある場合、その差について合理的な説明ができること」が求められる制度である点です。

企業には、パート・有期雇用労働者から説明を求められた際に、その待遇差の理由を説明する義務があります。

2.これまでの経緯

働き方改革関連法により、2020年から同一労働同一賃金制度がスタートしました。

その後、

などの最高裁判決が相次いで示され、企業の待遇差の考え方が整理されてきました。

しかし、現行ガイドラインでは裁判例で示された考え方が十分に反映されていない部分もありました。

そこで厚生労働省は、令和8年10月1日施行に向けてガイドラインを改正し、裁判例を踏まえた具体的な判断基準を追加しました。

3.2026年10月改正の主なポイント

今回の改正の特徴は、「均衡待遇」の考え方がより具体化されたことです。

特に注目すべき点は次の3つです。

4.裁判例を踏まえた記載の見直し

では、具体的にガイドラインの変更点と対策を解説していきます。

特に賞与退職金については、対策を取らなければいけない企業が多いことが予想されますので、改正ポイントと対策を詳しく解説します。

1)賞与【記載の充実】

賞与の性質(労務の対価の後払い、功労報償、生活費の補助、労働意欲の向上等)がパート・有期雇用労働者にも妥当するにもかかわらず、

 従って、① 職務内容や責任の違い、配転範囲の違いに応じた均衡のとれた金額を支給する、または ② 基本給を高く設定するなどの代替措置のいずれかを講じることが、改正ガイドラインへの対策になります。

ただし、以下の表の通り、近年の同一労働同一賃金に関する裁判は、賞与不支給は不合理でないと判断する判決もあります。

裁判所は、賞与について会社の裁量を広く認め、支払うべき賞与額は企業が決めるべきと考えているようです。

事件名賞与の待遇差が不合理ではないと判断された主な理由
長澤運輸事件
(最高裁平成30年6月1日)
定年後再雇用者と正社員との待遇差が争われた事案。
最高裁は、定年退職により退職金を受領していることや、再雇用後の職務内容・責任が一定程度軽減されていることを考慮し、賞与を含む一部待遇差については不合理とまではいえないと判断した。
定年後再雇用という特殊事情が重視された事例である。
メトロコマース事件
(最高裁令和2年10月13日)
売店業務に従事する契約社員と正社員との待遇差が争われた。
賞与については直接争点ではなかったが、正社員には将来の配置転換や管理業務への期待があり、長期的人材活用を前提とした人事制度が存在することが考慮された。
そのため、雇用区分の違いに基づく一定の待遇差は直ちに不合理とはいえないとの考え方が示された。
大阪医科薬科大学事件
(最高裁令和2年10月13日)
アルバイト職員に賞与を支給しなかったことが争われた。
最高裁は、大学の賞与には業績貢献だけでなく、正職員としての継続的な勤務や将来への期待、人材確保・定着などの目的が含まれると認定。
そのうえで、アルバイト職員は職務内容や責任、配置転換の範囲などが大きく異なるため、不支給は不合理ではないと判断した。
日本郵便事件
(最高裁令和2年10月15日)
期間雇用社員と正社員との待遇差が争われた事件。
扶養手当や年末年始勤務手当などは不合理と判断された一方、賞与については最高裁の判断対象とならず差戻しとなった。
ただし下級審では、正社員の賞与には長期雇用を前提とした人材確保・定着の目的があることが考慮され、一定の待遇差を認める方向で検討されていた。

待遇差を設けた場合の説明例としては、

「正社員は、欠員がある時の緊急対応、時間外や休日のトラブル対応、クレーム対応・処理など、広範囲の職務、包括的な対応を行う義務を負っています。
パート・有期雇用者は、契約で定められた限定された業務を行い、トラブル対応やクレーム対応処理、時間外・休日や緊急呼び出しに対応する義務を負っていません。
貢献度の質が異なりますので、その対価である賞与に差があります。」

等が考えられます。

実務的には非正規社員に対しても、一定額(例:数万円など)を支給する制度を設けることが、リスクヘッジとなります。

2)退職金【新規追加】

退職金の項目が新設され、退職金の性質(労務の対価の後払い、功労報償等)が、パート・有期雇用者にも妥当するにもかかわらず、

従って、①職務内容や責任の違い、配転範囲の違いに応じた均衡のとれた金額を支給する、または②基本給を高く設定するなどの代替措置のいずれかを講じることが改正ガイドラインへの対策になります。

以下の表の判例から今後の考えられる対策を紹介すると、改正ガイドラインの根拠となったメトロコマース事件(最三小判・令2.10.13)では、「正社員」と「契約社員B」を比較して、「正社員」は欠勤者が出た時の代務業務や売上げ向上の指導、トラブル処理やエリアマネージャー業務に従事するのに対し、「契約社員B」は売店業務に専従し、代務業務を行わず、エリアマネージャー業務に従事することもなく、業務場所の変更命令はあっても、業務内容の変更はないこと、「契約社員B」に正社員登用制度があり、相当数の実績があったことなどが考慮され、賞与や退職金の不支給が不合理とされていません。

そのため、不支給の理由が適切に説明できれば、対策になり得るのではないかと考えます。

待遇差を設けた場合の説明の例として

「退職金制度は、長期雇用を前提に、広域の転勤や職種変更の人事異動に従い、多様な職務経験により能力向上を図り会社へ貢献した方への功労報償です。
パート・有期雇用の方は勤務地・職務内容が契約により限定されているため、このような人事異動は従う義務はありません。
このような「人財活用の仕組み」の違いにより、退職金は正社員に限定しています」

等が考えられます。

以上のような対策が考えられますが、昨今の人手不足の状況を鑑みると、パート・有期雇用者のうち、長期間勤務者には退職慰労金を支給するといった検討策も一つだと思います。

以下に退職金規定のサンプルを掲載します。

(退職金規程例)

「会社は、パート・契約社員で勤続期間が3年を超えるものに対して、退職時に功労報償としての退職慰労金を支給する。支給額は、勤続年数、職務の内容その他の事情を考慮し、個別に決定する。」

事件名退職金の待遇差が不合理ではないと判断された主な理由
メトロコマース事件
(最高裁令和2年10月13日)
地下鉄駅構内の売店で勤務する有期契約社員に退職金を支給しなかったことが争われた事案です。
最高裁は、退職金には単なる労務の対価の後払いだけでなく、長期間の勤続に対する功労報償や、将来にわたる継続勤務への期待、人材の確保・定着といった複合的な目的が含まれると判断しました。
その上で、契約社員は更新を繰り返していたものの、正社員とは人事制度上の位置付けが異なり、配置転換や職務変更の範囲が限定されていたこと、長期的人材活用の仕組みの中核を担う立場ではなかったことなどを考慮し、退職金を支給しないことは直ちに不合理とはいえないと結論付けました。

3)無事故手当【新規追加】

※通常の労働者と業務の内容が同一の非正規雇用労働者には、通常の労働者と同一の無事故手当を支給することが求められます。

安全運転や事故防止を目的とした手当であれば、雇用形態による差は認められにくくなります。

4)家族手当【新規追加】

労働契約の更新を繰り返している等、相応に継続的な勤務が見込まれる非正規雇用労働者には、通常の労働者と同一の家族手当を支給することが求められます。

扶養家族の生活補助という目的は雇用形態に左右されないためです。

5)住宅手当【新規追加】

住宅手当であって、転居を伴う配置の変更の有無に応じて支給されるものについて、通常の労働者と同一の転居を伴う配置の変更がある非正規雇用労働者には、通常の労働者と同一の住宅手当を支給することが求められます。

転勤補償目的の住宅手当は、同様の転勤がある労働者には同様の支給が必要です。

6)病気休職・休暇【記載の充実】

労働契約の更新を繰り返している等、相応に継続的な勤務が見込まれる非正規雇用労働者にも、通常の労働者と同一の病気休職・休暇(療養への専念を目的とした休暇に限る)期間に係る給与を保障することが求められます。

長期勤務が見込まれる従業員については、療養支援の観点から同様の取扱いが求められます。

7)夏季冬季休暇【新規追加】

非正規雇用労働者にも、通常の労働者と同一の夏季冬季休暇を付与することが求められます。

正社員のみ夏季休暇を付与する制度は見直しが必要となる可能性があります。

8)褒賞【新規追加】

褒賞であって、一定の期間勤続した労働者に付与するものについて、通常の労働者と同一の期間勤続した非正規雇用労働者には、通常の労働者と同一の褒賞を付与することが求められます。

永年勤続表彰などは、勤続年数が同じであれば同様の取扱いが求められます。

 9)雇い入れ時の労働条件明示事項の追加

令和8年10月以降は、採用時の労働条件通知書に、

「通常の労働者との間の待遇の相違(内容・理由)等について説明を求めることができる」

旨の記載が必要になります。

5.中小企業の実務対応のステップ

では、具体的に中小企業が今回の同一労働同一賃金のガイドラインの改定に合わせてどのような対応を進めていくべきか?ステップを解説します。

STEP1 待遇一覧表を作成する

まずは正社員とパート・契約社員の待遇を一覧化します。

を整理しましょう。

STEP2 待遇の目的を明文化する

なぜ支給しているのかを整理します。

例えば、

などです。

STEP3 説明できるか確認する

なぜ正社員だけなのか

を第三者に説明できるか確認します。

正社員と非正規社員との職務内容や責任、配置転換の範囲などの違いについて説明が難しいものは見直し候補です。

STEP4 就業規則・賃金規程を整備する

待遇の目的と支給要件を明文化します。

裁判になった場合、規程の記載内容が重要な証拠になります。

STEP5 採用時の労働条件通知書を改訂・従業員への説明

令和8年10月までに新様式へ切り替えましょう。

そして制度改定が行われた場合は従業員に説明が必要になります。

まとめ

今回の改正は、「賃金格差是正」だけではなく、「待遇差を合理的に説明できる制度づくり」を企業に求める内容となっています。

特に中小企業では、長年の慣行で運用している手当や福利厚生制度が多く存在します。しかし、「昔からそうしている」という理由だけでは説明責任を果たすことはできません。

令和8年10月の施行までに、

を進めることが重要です。

今後は「正社員だから支給する」という発想から、「その待遇の目的に照らして誰に支給すべきか」という発想への転換が求められます。

中小企業でここまでの対応は難しい⋯とネガティブに捉えがちかもしれませんが、早めの点検と見直しが今後の労務トラブルの未然予防と人材採用や確保面でプラスの効果を生み出す「きっかけ」になると考えて頂ければと思います。

同一労働同一賃金の改定事項の詳細を確認されたい方は、厚生労働省の「同一労働同一賃金特集ページ」を確認ください。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000144972.html

今回のコラムは以上です。お読み頂き、ありがとうございました。

〈この記事を書いた人〉
山下 謙治
Kenji Yamashita
社会保険労務士法人 プロセスコア 代表
日越協同組合 監事
社会保険労務士・行政書士・マイケルボルダック認定コーチ
日産鮎川義塾 師範代 九州本校 塾長

社会保険労務士として人事・労務の課題解決を通じて地元熊本を中心に中小企業の経営支援20年のキャリアを持つ。従来の社会保険労務士の業務だけでなく、管理職育成を中心とした教育研修事業や評価制度導入支援を行い、経営者が抱える、組織上の悩みや課題解決の支援を行っている。得意とする業務は、起業から5年目以降の発展期における組織強化・拡大期の採用・教育・評価・処遇といった人事制度づくりの支援。

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はじめに

今回のコラムは、経営者の方からご相談の多い組織づくりに関するテーマです。

中間管理職や専門部署を飛ばしてトップに相談が集中してしまい、必要以上に時間を取られてしまうというご相談に対して、どのような要因が考えられ、どのような対策が有効かをまとめました。

経営上のリソース(資源)として「人・モノ・金」とよく言われますが、特に人の部分は一番リソースが少ない部分です。

時間をどれだけ有効活用できるかが企業の成長を大きく左右します。

同様の問題を抱えられている経営者や管理職の方は是非ご一読ください。

では、想定される要因ごとに解説していきます。

目次 [閉じる]

要因1.指示命令系統のセクションごとに何をすべきかが曖昧

相談案件のテーマ事に、

現場担当者が直属上司へ相談や報告を上げないといけない案件なのか?

相談を受けた上司・専門部署の窓口がどこまで対応する必要があるのか?

経営層は何をしなければいけないのか?

それぞれのセクションごとの職務が明確になっていないケースが考えられます。

対策として、

現場担当者が上司や専門部署に上げてほしい案件とは、具体的にどのようなケースを指すのか?

上がってきた案件に対して、直属上司や専門部署が何を具体的にしないといけないのか?

経営層は何をするのか?

明文化しておくことが有効です。

以下の図は、エスカレーションフローといい、現場担当、直属上司、経営層それぞれの階層の職務を図解して流れを示した図です。

このように、チャート化するとより分かりやすくなります。

対策の効果性を高めるPoint1.

もっとも大切なことは全体への周知徹底です。

周知ができていないと、上記の基準を経営層と管理職しか知らなかったり、新人のスタッフへの伝達が出来ておらず、ルールを知らない人と知っている人が混在するといった問題が起こりがちです。

定期的にエスカレーションフローや階層ごとの職務内容の見直しを行ったり、新人教育カリキュラムの項目に追加するなどの整備が必要です。

対策の効果性を高めるPoint2.

相談を受ける上司などの管理職教育も大切です。

なぜなら、基準やルールを作っても運用の実効性を担保するのは中間に入る上司層のパフォーマンスにかかっているからです。

現場担当者から相談や報告が上がった時に上司が、

このような態度の場合、現場担当は上司への相談を避けます。

すると結局「社長の方が話しやすい」ので、経営層への判断業務の集中という現象が続きます。

教育内容として特に必要なのは、

などが上げられると思います。

ヒューマンスキルから実務的な専門スキルなど横断的なキャリア形成が求められます。

特に判断基準や優先順位は、実際に様々な事例を経験し、修羅場といえる問題にぶつかって乗り越えた経験から身についていくものも多いため、育成に年数がかかります。

また、管理職として適性を備えた人材の採用も重要になってきますので、早めに取り掛かることも大切です。

要因2.トップが直接相談にのりすぎている

中小企業で管理職を担える人材が不足していたり、充分に育っていない状況下では致し方ない部分もあるかと思いますが、ついつい経営者自身が現場担当者からの相談に直接乗ったり、良かれと思って「何かあったら直接言って」と従業員に伝えてしまい、管理職の機能を形骸化させる動きを取ってしまっていることが上げられます。

長期間この状態のままにしておくと、中間管理職がいつまでも育たず、社長等の経営層依存組織から脱却できません。さらに、経営層の疲弊・時間が取れない、かつ、現場や管理職が育たないといった悪循環に陥っていきます。

対策として、経営者から、企業の長期的な事業展開のヴィジョンや、それを踏まえてどのような組織にしていく必要があるのか、そのために管理職にどのような仕事や役割を担ってほしいのか要望を示すことが有効です。

必要なスキルや能力を身に着けていくための教育の機会、ポジションの業務整理と伝達、遂行する上での不安要素の抽出、評価基準や成果に応じて待遇を提示するなどの制度設計も先駆けて行っていく必要があります。

まとめ

今回取り上げた経営層への業務集中という課題は、部署が多岐に分かれており経営層と現場が物理的に離れた場所で仕事をしている大企業の場合は、指示命令系統を明確に区別せざるをえない環境となるため、起きづらい問題かもしれません。

しかし、従業員規模30人以下の中小企業では、課題に感じられているところも多いのではないかと思います。

経営者の方が「経営」を行いながら従業員の業務に直接指示を出したり、相談を受けることも多く、課題になりやすいテーマかと思います。

自社で見直す必要がないかぜひご検討ください。

今回のコラムは以上です。お読み頂き、ありがとうございました。

〈この記事を書いた人〉
山下 謙治
Kenji Yamashita
社会保険労務士法人 プロセスコア 代表
日越協同組合 監事
社会保険労務士・行政書士・マイケルボルダック認定コーチ
日産鮎川義塾 師範代 九州本校 塾長

社会保険労務士として人事・労務の課題解決を通じて地元熊本を中心に中小企業の経営支援20年のキャリアを持つ。従来の社会保険労務士の業務だけでなく、管理職育成を中心とした教育研修事業や評価制度導入支援を行い、経営者が抱える、組織上の悩みや課題解決の支援を行っている。得意とする業務は、起業から5年目以降の発展期における組織強化・拡大期の採用・教育・評価・処遇といった人事制度づくりの支援。

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はじめに

中小企業における採用活動は、「採用できたかどうか」以上に、「採用した人材が定着し、活躍してくれるかどうか」が重要です。

しかし現実には、採用後の早期離職や「こんなはずじゃなかった」というミスマッチ、労働条件に不満が出て労使間のトラブルに発展するケースが増えてきております。

その原因の一つに、企業側が「良い面だけを伝えすぎている」こと、そして応募者側に「受け入れてほしい現実を伝えていない」ことがあげられます。

本コラムでは、採用ミスマッチを防ぐために企業側が応募者へ伝えるべき内容と、その実務対応について解説します。

目次 [閉じる]

1.なぜ受け入れてもらいたいことを伝える必要があるのか?

今日の人材採用活動において企業側は、どうしても「選ばれる側」であるという意識が働き、良い面を強調しがちです。しかし、この姿勢が結果として労使トラブルや早期離職の原因になります。

特に近年は、以下の主な理由でミスマッチが顕在化しやすくなっています。

こうした環境の中で重要なのは、「入社前にどれだけリアルを共有できるか」です。

例えば、以下のようなケースは典型的なミスマッチです。

これらは、企業側からすれば「当たり前」の環境でも、応募者からすると入社する前に知っておきたかった情報になります。

つまり、
“こんな企業と思わなかった”をいかに減らすか”が、採用成功の確率を上げるポイントです。

このギャップを埋めるために必要なのが、「受け入れてもらいたいこと」を事前に明確に伝えることです。

2.どんなことを伝える必要があるのか?

では、具体的に何を伝えるべきなのでしょうか。ポイントは、「企業にとっての当たり前」を言語化することです。

採用に成功する企業は、一覧表にして一項目ずつ伝え、確認する仕組みを整備されています。

以下に項目の事例を紹介します。

(1)業務の実態

(2)組織風土・人間関係

(3)評価・給与の考え方

(4)働き方のリアル

(5)教育・育成体制

3.伝えるポイントの整理で効果的な方法:既存社員へのヒアリング

上記に事例を紹介しましたが、どんなことを伝えればいいのか洗い出す方法は、既存社員に「入社後のギャップ」をヒアリングすることです。

例えば以下のような質問を行います。

この回答を整理すると、企業側では気づきにくい「リアル」が見えてきます。

これを採用時に伝えることで、本当にこの企業に就職していいのか、考えてもらう機会を創り、“覚悟した上で入社してもらう”状態に近づけることができます。

3.伝える際のポイントやタイミング

「伝えることが重要」とはいえ、伝え方を誤ると応募辞退につながるリスクもあります。

ここでは実務上のポイントを整理します。

(1)伝えるタイミングは「選考後半」がベスト

初期段階でネガティブ情報を出しすぎると、誤解を招きやすくなります。

おすすめは以下の流れです。

  1. 1.一次面接:適性面接や試験+魅力・方向性の共有
  2. 2.二次面接以降:現実・条件・課題の共有
  3. 3.内定前:最終確認としての「受け入れ事項」の提示

(2)事実+意図で伝える

単に「大変です」と言うのではなく、

をセットで伝えることが重要です。

(3)隠さないが、否定的にも言いすぎない

重要なのはバランスです。

に繋がりかねませんので、事実を誠実に伝え、それを企業としてどう認識しているか?今後どういう方向に改善していくのか?を伝えていくことが重要です。

4.採用して良い人物かどうかの見極めるポイント

受け入れてもらいたいことを伝えたうえで、次に重要なのは「それを受け入れられる人材かどうか」を見極めることです。

(1)本人の回答を鵜呑みにしない

応募者の「大丈夫です」のコメントをそのまま信用することは避けた方が良いです。

なぜなら応募者側も「採用されたい」「よく自分を見せたい」心理が働いているからです。

必ず、発言を担保出来るだけの、過去の職場経験や耐性(新しい職場で求められる適性×苦労を乗り越えられるだけの経験を経てきたかどうか)を質問して確認しましょう。

(2)違和感に対する反応を見る

あえて厳しい現実を伝えたときの反応が重要です。

ここでの反応が、入社後の適応力を示します。

ポーカーフェイスや不安げな表情が見てとれた時は慎重な判断が必要です。

(3)過去の選択の一貫性を見る

職務経歴をもとに就職・転職理由を深掘りすると、

が見えてきます。

まとめ

採用において多くの企業が陥りがちなのは、

という一方通行の進め方です。

しかし、長期的視点に経って継続的に働いてくれる人の採用を考えると、「企業側の現実をどれだけ正しく伝えられるか」そして、「応募者がそれを受け入れられる人材かどうかを見極めること」が大切です。

特に一般的に中小企業においては、組織的に未成熟な部分も多く、

といった「特徴」が多く見受けられます。

これらは弱みでとしても捉えられますが、「合う人にとっては魅力」として映るポイントにもなります。

だからこそ、あえて伝えにくいこと、恥部、至らない点を正直に伝えることが結果として、ミスマッチを防ぎ、

につながります。

採用とは「選ぶ」だけでなく、「選ばれる」プロセスでもあります。

そしてその本質は“お互いが納得した状態でスタートできるかどうか”です。

ぜひ、自社の「受け入れてもらいたいこと」を言語化し、一覧表に整理して伝える仕組みを採用選考のプロセスに組み込んでみてください。

それが、長く活躍してくれる人材採用への最短ルートに繋がります。

今回のコラムは以上となります。お読み頂き、ありがとうございました。

〈この記事を書いた人〉
山下 謙治
Kenji Yamashita
社会保険労務士法人 プロセスコア 代表
日越協同組合 監事
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はじめに(時代背景)

近年、「繋がらない権利(Right to Disconnect)」という考え方が世界的に注目されています。

これは、勤務時間外に業務連絡への対応を強制されない権利を指します。

この背景には、スマートフォンやチャットツールの普及があります。

メール、LINE、Slack、Teamsなどのコミュニケーションツールにより、いつでも社内外の人と連絡が取れる状態になりました。

その結果、「退勤後でも仕事から離れられない」という問題が近年、顕在化しています。

フランスでは2017年に「繋がらない権利」が法制化。

その後イタリアやポルトガル、オーストラリアでも法制化され、欧州を中心に制度整備が進んでいます。

法制度の主な目的は、プライベートの時間の確保や長時間労働による精神的・肉体的悪影響がでることを予防することです。

一方、日本では現時点で明確な法律はありません。

そもそも仕事とプライベートの時間についての考え方は人それぞれで、

「仕事とプライベートを分けてなんか考えられない、どちらも大事な人生の一部なんだから」

という人もいれば、

「仕事とプライベートの時間はきっちりわけたい」

という人もいて、この問題について重要視するレベルも個々人によって違うように思います。

しかし、長時間労働の是正やメンタルヘルス対策の観点から見ると、これは無視できない問題です。

そもそも日本の労働基準法では「労働から完全に解放された時間でなければ休憩時間にはならない」という法律になっていますので、法制化されてなくても、ルールや運用を検討する必要があるかと思います。

そこで今回は、中小企業でも取り組める実務対策について考察していきたいと思います。

目次 [閉じる]

1.中小企業が実務として取り組めること

1.ルールの策定

最初に重要なのは、「会社としての基本方針」を決めることです。

例えば、以下のような方針を明文化します。

これを就業規則・社内ガイドライン・IT利用ルールなどに盛り込むことで、従業員は心理的に安心して業務外時間を過ごすことができます。

重要なのは「返信しなくても評価に影響しない」というメッセージを明確にすることです。ルールがあっても、現場の空気が違えば実質的には機能しません。

2.メールやツール、電話などの連絡業務を行う上での実務対策

実務上取り入れやすい対策をいくつか紹介します。

① 夜間メールやchatの送信ルール

最近は多くのメールソフトに予約送信機能があります。夜にメールを書いても翌朝送信されるため、相手に心理的負担を与えません。

Chatツールにも送信予約機能がついたものが増えてきていますので、そういった操作機能がついたものを使用し、社員に教育してくことが重要になります。

② 社内チャットツールの運用ルール

社内チャットは便利ですが、使い方を誤ると常時労働状態を生みます。

③ 業務の「緊急度」を分ける

多くの企業で問題になるのは「本当に緊急なのか分からない」ことです。

例えば次のような分類別に定義化すると分かりやすくなります。

業務連絡の分類

このように、即対応する業務は〇〇といった事案といった定義化をするだけでも、個々人の認識のずれを減らすことができ、上司や部下ともに心理的ストレスをかなり減らすことができます。

④ 上司が率先して夜間連絡を減らす

繋がらない権利の保障を考えた時、その企業の経営者や管理職といった人事権や評価する権限を持つ「上司の行動」がポイントになります。

管理職が夜中にメールを送ると、部下は心理的に返信せざるを得なくなります。

そのため、管理職が率先してルールに則って行動をすることを会社の方針として発信していくことが重要です。

2.評価や人事面でできること

制度が形骸化する要因に上司からの「評価」が考えられます。             

例えば

・夜間でもすぐ返信する人が評価される

・休日対応する人が評価される

この状態では、繋がらない権利は機能しません。

そこで、人事制度で「夜間や休日に返信しなくても評価には影響しないことを明文化していくこと」も重要になります。

そして「長く働く人」ではなく、「成果」を出す人を評価する仕組みを設けることが重要です。

3.対外的な関係者に対してできること

実務上よくあるのが、「顧客からの夜間連絡」です。これを完全に止めるのは難しいですが、次のような方法があります。

①メールやchatの署名や表示名に記載

②自動返信の活用

休暇時には「現在休暇のため返信は〇日以降になります」と自動返信を設定します。

③顧客との期待値調整

顧客にも契約時に「対応時間」、「緊急連絡方法」を伝えることで、不要な夜間や休日の連絡は減ります。

まとめ

「繋がらない権利」は、単に連絡を禁止する制度ではありません。
本質は、メリハリを付けて「働き方の質」を高めることにあると思います。

法律の整備を待つのではなく、自社の業務内容を分析した上で、必要に応じて今回ご紹介した

といった実務レベルでの対策をご検討ください。

こうした取り組みは、

につながる可能性があります。

働き方改革が求められる時代だからこそ「繋がらない時間」をどう設計するかは、これからの組織づくりにおいて重要なテーマです。

ぜひ一度、現状の分析と対策の必要性についてご検討下さい。

今回のコラムは以上です。

お読み頂き、ありがとうございました。

〈この記事を書いた人〉
山下 謙治
Kenji Yamashita
社会保険労務士法人 プロセスコア 代表
日越協同組合 監事
社会保険労務士・行政書士・マイケルボルダック認定コーチ
日産鮎川義塾 師範代 九州本校 塾長

社会保険労務士として人事・労務の課題解決を通じて地元熊本を中心に中小企業の経営支援20年のキャリアを持つ。従来の社会保険労務士の業務だけでなく、管理職育成を中心とした教育研修事業や評価制度導入支援を行い、経営者が抱える、組織上の悩みや課題解決の支援を行っている。得意とする業務は、起業から5年目以降の発展期における組織強化・拡大期の採用・教育・評価・処遇といった人事制度づくりの支援。

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いつもお世話になっております。プロセスコアの山下です。

今回は従業員のスキルアップで成長を狙う企業様にお勧めの「人材開発支援助成金 事業展開等リスキリング支援コース(以下、リスキリング助成金という)」の制度概要や、主な支給要件や申請の流れについて解説します。

目次 [閉じる]

助成金の概要と目的

リスキリング助成金は、令和4年から8年度の期間限定で創設された制度で、新規事業の立ち上げやデジタルトランスフォーメーション(DX)、グリーン・カーボンニュートラル化(GX)などに伴い、新たな分野で必要となる知識及び技能を従業員に習得させるための訓練を支援します。

この助成金は、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成する制度であり、企業が競争力を強化し、持続可能な成長を遂げるための重要な支援策です。

助成金を活用した具体的なスキルアップ事例

実際にリスキリング助成金を活用して成功を収めた企業の事例をご紹介します。

例えば、ある小売業では営業部門において、ITツールを活用したWEB集客のノウハウの習得させるための講座を受講させ、実際に集客活動に活かし、売上UPにつなげています。

また、外食の事業を行っている飲食店では、テイクアウト及びお弁当の製造販売を新たに開始するため、予約システムの構築やアプリ開発を行うための講座を受講させ、アプリを開発し、新しい事業展開を進められています。

助成金申請の手順と注意点

リスキリング助成金の申請手順は以下の通りです。

まず、助成金を申請するためには、雇用保険適用事業所の事業主であることが必要です。職業能力開発推進者を選任し、従業員に訓練を受けさせる計画を立てます。

次に、事業内職業能力開発計画を作成し、その計画を労働者に周知します。

その後、訓練開始日の1か月前までに計画届を提出し、訓練期間中も適正に賃金を支払うことが求められます。

最後に、訓練終了日の翌日から2か月以内に支給申請を行います。

注意点として、申請にあたり必要な書類を準備し、期限内に提出することが重要です。

また、申請内容に誤りがないように細心の注意が必要です。

助成金対象となる訓練プログラムの選定方法

助成金の対象となる訓練プログラムの選定方法について解説します。

まず、訓練の内容が企業の新規事業やDX、GXに関連していることを確認します。

次に、訓練機関が提供するプログラムの中から、従業員のスキルアップに最適なものを選定します。

また、訓練機関が発行する修了証や受講証明書などが発行されるプログラムを選ぶことも重要です。

さらに、eラーニングや通信制による訓練も助成対象となりますが、その場合は標準学習期間が10時間以上又は標準学習期間が1ヶ月以上であることが条件となります。

助成金を活用した長期的な人材育成戦略

最後に、助成金を活用した長期的な企業戦略について考えてみましょう。

今後、企業が強みとしたい商品やサービスは何なのか?その強みを支える人材にどのようなスキルやノウハウを習得させる必要があるのか検討し、それにマッチした訓練プログラムを設けることが重要です。

また、助成金を一過性のものとせず、長期的な人材育成戦略の一環として計画的に活用することが重要です。

定期的に従業員のスキルアップを図るための訓練プログラムを設け、継続的に助成金を活用することで、企業全体の競争力を向上させることにも繋がります。

助成額の説明と申請から受給までの流れ

・助成額

リスキリング助成金の助成額は、中小企業とそれ以外の企業で異なります。

中小企業の場合、訓練経費に対する助成率は75%(大企業60%)であり、賃金助成額は1人1時間あたり960円(大企業480円)です。

※オンライン講座の場合は訓練経費のみ対象です。

中小企業にとっては非常に有利な条件で提供されています。
(1人あたりの助成額には上限額が定めてありますので最後尾に記載しております厚生労働省サイトからご確認ください。)

・申請から受給までの流れ

助成金の申請から受給までの流れは以下のステップで進行します。

  1. 1.事前準備

助成金申請の準備として、事業内職業能力開発計画を策定します。
また、職業能力開発推進者を選任し、訓練計画を具体化します。

  1. 2.計画届の提出

訓練開始日の1か月前までに、職業訓練実施計画届を労働局に提出します。
これには訓練内容や対象者、訓練期間、経費見積もりなどの詳細が含まれます。

  1. 3.訓練の実施

計画に基づいて、従業員に対する訓練を実施します。
訓練中も適正に賃金を支払い、訓練内容の進捗を管理します。

  1. 4.助成金の申請

訓練終了日の翌日から2か月以内に、助成金の支給申請を行います。
支給申請書には、訓練経費をすべて企業が負担していることが分かる領収書等の証拠書類や訓練修了証明書などが必要です。

  1. 5.助成金の受給

労働局による審査が行われ、適正と認められれば助成金が支給されます。
審査には数か月程かかる場合があります。

助成金の申請から受給までのプロセスは詳細かつ厳密ですが、適切に対応すれば、企業にとって大きなメリットを享受することができます。

従業員のスキルアップと企業の成長を図る施策としてリスキリング助成金の活用を検討されてはいかがでしょうか?

以上が「従業員のスキルアップで企業の成長を!リスキリング助成金の魅力」についてのコラムです

助成金の申請方法や具体的な使い方を理解し、企業の競争力強化にお役立て頂ければ幸いです。

お読み頂き、ありがとうございました。

ご紹介した「リスキリング助成金(人材開発支援助成金 事業展開等リスリニングコース)」の詳細な支給要件等の内容をお知りになりたい方は以下のサイトからご確認ください。

→ 人材開発支援助成金|厚生労働省

〈この記事を書いた人〉
山下 謙治
Kenji Yamashita
社会保険労務士法人 プロセスコア 代表
日越協同組合 監事
社会保険労務士・行政書士・マイケルボルダック認定コーチ
日産鮎川義塾 師範代 九州本校 塾長

社会保険労務士として人事・労務の課題解決を通じて地元熊本を中心に中小企業の経営支援20年のキャリアを持つ。従来の社会保険労務士の業務だけでなく、管理職育成を中心とした教育研修事業や評価制度導入支援を行い、経営者が抱える、組織上の悩みや課題解決の支援を行っている。得意とする業務は、起業から5年目以降の発展期における組織強化・拡大期の採用・教育・評価・処遇といった人事制度づくりの支援。

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いつもお世話になっております。社会保険労務士法人プロセスコアの山下です。

今回のコラムは職場のハラスメント(いじめ・いやがらせ)予防対策がテーマです。

というのも、一昨年辺りから企業内ハラスメントの予防研修の依頼を受ける頻度が増えてきており、地元の中小企業の経営者様や人事担当者様も身近な問題として捉えていらっしゃる方が多いのではないかと考えるからです。

そこで、ハラスメメントの発生状況と発生要因、中小企業において具体的に取り得る予防策について書かせて頂きました。
是非ご一読ください。

ハラスメントといっても職場内で起こるものは、異性間で起こるセクシャルハラスメントや優越的な立場を利用して起こるパワーハラスメント、社員同士の無視やいじめといったモラルハラスメント、妊娠・出産を理由に起こる嫌がらせといったマタニティハラスメントなど多岐に渡ります。

ハラスメントの発生状況
発生状況は下記のグラフをご覧ください。
個別労働紛争の相談案件別推移のデータに着目すると、他の相談案件に比べ、ハラスメントの発生頻度が多いことがわかります。

ハラスメントの発生要因

このようなハラスメント問題が起こる要因について、私が今までに頂いた労務相談の経験を基に分析すると、主に2つの要因が上げられます。

1.世代間での価値観のギャップがある

一概にはいえませんが、例えば現在40代以上の世代の人が育ってきた家庭環境、学校や企業では、親や先生、企業の上司・先輩との関係は、今の20~30代の若い世代と比べて上下関係が厳しく、上の人が下の人に高圧的であったり、また成果重視が強く厳しい要求を求められてきている人が多いため、そのような環境で育ってきていない若い世代の人からすると、40代以上の世代の価値観は受入れ難く、ハレーションをおこしてしまう傾向があります。

2.ハラスメントをしている人にハラスメントをしているという自覚がない

1.に関連することですが、自分たちの世代では当然だった、当たり前だったという認識ですので加害者自身に特段ハラスメントをしているという自覚がないということが問題を引き起こし、問題の影響の長期化をさせているように思います。

中小企業におけるハラスメント予防対策
では、中小企業がそのような問題を予防するため、どのような対策が有効でしょうか?
主な対策は3つです。

職場のハラスメント予防3つの対策
1.従業員への教育研修
2.相談窓口の設置
3.定期的なアンケート実施

1.従業員への教育研修

先程ハラスメントの要因で上げた世代間ギャップやハラスメントを行っている自覚がないことが大きな要因であることから、教育研修を通じて、ハラスメントの定義、事例、企業に与える影響について理解を深める研修を実施することをお勧めします。
また、管理職の方に対しては、実際にハラスメントが起こった場合の適切な対応策についての学習も重要です。

2.相談窓口の設置

ハラスメントが起きた時、誰に相談すればよいか明確に定めて、職場内で周知しておくことが必要です。
その際、相談窓口となる人は複数置きます。この人には相談しやすい、しづらいといったことが起こり得るためです。
さらに重要なのは、相談窓口への適切な人員の配置です。相談窓口には職場の多くの人から信頼され、相談があった時に相談者の話を否定せず、傾聴し、共感を示せる人が望ましいです。

3.定期的なアンケート実施

定期的な職場環境や労働条件の満足度、リクエスト調査と併せてハラスメントをここ1年で受けていないか、他の人が受けていないかといったアンケート項目を追加し、実施することをお勧めします。

今回のコラムは以上です。

ハラスメントはどこの職場でも、誰でも引き起こす可能性がある問題です。
例えば、自動車の免許更新の研修ではないですが定期的な学習の機会を設けることが予防効果を高めます。

弊所でも、企業向けのハラスメント予防研修をリアル・オンライン開催どちらも請け負っております。
必要な企業様がいらっしゃいましたら是非お問い合わせください。

ハラスメント研修の詳細・お申込はこちら
 https://process-core.com/seminar/harassment

お読み頂き、ありがとうございました。

〈この記事を書いた人〉
山下 謙治
Kenji Yamashita
社会保険労務士法人 プロセスコア 代表
日越協同組合 監事
社会保険労務士・行政書士・マイケルボルダック認定コーチ
日産鮎川義塾 師範代 九州本校 塾長

社会保険労務士として人事・労務の課題解決を通じて地元熊本を中心に中小企業の経営支援20年のキャリアを持つ。従来の社会保険労務士の業務だけでなく、管理職育成を中心とした教育研修事業や評価制度導入支援を行い、経営者が抱える、組織上の悩みや課題解決の支援を行っている。得意とする業務は、起業から5年目以降の発展期における組織強化・拡大期の採用・教育・評価・処遇といった人事制度づくりの支援。

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いつもお世話になっております。プロセスコアの山下です。

年末は賞与査定時期ということもあり、人事考課の評価面談をされる経営者や人事担当者の方が多いのではないでしょうか。

どのような評価面談の進め方をするかで、来期の社員のモチベーションや成長にも大きく変わってくる部分かと思います。できるだけ有意義な時間にしたいものです。

そこで、今回は評価面談の進め方のポイントについてまとめました。

評価面談はどのような流れで進めると良いのか?
興味がある方はぜひご一読ください。

まず、評価面談といっても、ただB評価だから…◯点だから…賞与はこれくらいといった結論だけ伝えても育成には繋がりません。

社員自身に納得感や気づきを与え、育成することを目的として進めた方が評価を受ける人にとっても、会社にとってもプラスに働きます。

何より「仕事ぶりを見てもらっている」と感じてもらうことで本人の承認欲求を満たし、仕事への活力になることを考えると、まずポジティブフィードバックから入ることをお勧めします。

ポイントは4つ

1.この3~6ヵ月間の、部下への感謝のおもいを文章にして伝える
この点は、普段から特に感謝していることや貢献してくれていることを記録に取っておいたり、仕事ぶりを観察しておく必要があります。
また、必要に応じて直属の上司や同僚にもヒアリングを行い、整理しておくと作成がスムーズです。
評価というより感謝のお手紙を送ると言ったイメージで文章を作成し伝えると、評価者のモチベーションUPにも繋がります。

2.部下評価と自分の評価が(部下<自分)の評価項目をほめる
評価シートで、部下の自己採点より上司の採点が高かった項目をクローズアップして認めることも、本人の自信に繋がります。ぜひ、面談の中で触れられてください。

3.部下の強みを見つけ文章で強みを教えてあげる
自己を客観視することは主観が入るので誰でも難しく感じる部分です。
特に強みは、自分にとって当たり前に感じている部分であることが多く、他者からのフィードバックを貰うことで自己認識を高めることができます。
会社として特にこの部分を活かして、こんな仕事で貢献してもらった!という部分を強調して伝達されることをお勧めします。

4.この3~6ヵ月で部下ができるようになった事や少し成長した事を文章で伝える
上司からすると、なかなか褒める部分がない、認めることができない社員をどのようにポジティブフィードバックをすればいいのか?といった相談を受けることがあります。
そういった社員の方に対しては、過去と今の比較をして事実を伝えるという手法を取ることをお勧めします。

例)
  過去)1日で終わる仕事に3日かかっていた
→ 現在)2日でできた
  過去)✕✕ができなかった
→ 現在)✕✕ができるようになった
  過去)ミスが5件/日
→ 現在)ミスが3件/日

そういった過去と現在の変化を事実として伝えることは、評価を受ける人の奮起やモチベーションアップを図る意味では有効です。

最後にネガティブフィードバックや今後の課題です。

ポイントは2つ

1.ポイントをできるだけ絞って伝える
伝えたいことが多くなればなるほど、どれがもっとも重要なことか分からなくなってしまうものです。
例えば、まずはこの3つの課題から改善してほしい。取り組んでほしい!とポイントを絞って伝えることが重要です。

2.気づきを与えるときは、事実を伝えながら気づかせる
社員の自己採点では自分は出来ていると思う部分が、上司の視点から見るとまだまだ十分でないといったことはよく起こり得ることです。
部下から見て、上司が辛口な評価をした場合、部下からすると疑問に思ったり、場合によっては納得できない態度を取られることもあります。
その場合、できるだけなぜそのような評価になったのかを納得させる根拠となる「事実」を併せて説明することが有効です。

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今回のコラムは以上です。

冒頭でも述べましたが、評価面談は処遇の結果を伝えるためだけのものではなく、あくまで「育成」を主眼として行うことで社員のモチベーションや成長に繋がります。

考課者側の上司は採点を付けたり、どのように伝えるか準備に時間がかかりますが、評価される社員も評価する上司側も互いに成長する機会となりますので前向きに取り組みたいものですね。

今回のコラムは以上です。
お読み頂き、ありがとうございました。

〈この記事を書いた人〉
山下 謙治
Kenji Yamashita
社会保険労務士法人 プロセスコア 代表
日越協同組合 監事
社会保険労務士・行政書士・マイケルボルダック認定コーチ
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社会保険労務士として人事・労務の課題解決を通じて地元熊本を中心に中小企業の経営支援20年のキャリアを持つ。従来の社会保険労務士の業務だけでなく、管理職育成を中心とした教育研修事業や評価制度導入支援を行い、経営者が抱える、組織上の悩みや課題解決の支援を行っている。得意とする業務は、起業から5年目以降の発展期における組織強化・拡大期の採用・教育・評価・処遇といった人事制度づくりの支援。

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ワークエンゲージメント…日本語でいうと「働きがい」という言葉が一番近い表現かと思います。

今、企業の生産性を高めるためには従業員・組織のワークエンゲージメントを高める施策を実施する企業が増えてきているようです。今回はワークエンゲージメントの視点から企業の求人活動の取り組みについて触れたいと思います。

ワークエンゲージメントという言葉の定義は文献等によって変わりますが、本文では、「従業員が主体的に会社や仕事に取り組む充実感や就業意欲」を総合的に指す言葉と定義します。

以下の9つがワークエンゲージメントを高める鍵と言われていますが皆様の企業の社員の方々はどのように感じられているでしょうか?

1.職務…職務に対して満足度を感じているか?

2.自己成長…仕事を通じて自分が成長できているか?

3.健康…従業員が仕事の中で過度なストレスや疲労を感じていないか?

4.支援…上司や仕事仲間から職務上または自己成長の支援を受けているか?

5.人間関係…上司や仕事仲間と良好の関係が築けているか?

6.承認…周りの従業員から認められていると感じているか?

7.理念戦略…企業の理念・戦略・事業内容に対して納得・共感しているか?

8.企業の組織風土が従業員にとって良い状態なのか?

9.給与・福利厚生・職場環境といった従業員を取り巻く会社環境に満足しているか?

会社側は1.~9.すべての項目について改善を続ける努力が必要と思いますが、従業員の趣向性や価値観にも大きく左右される項目も多く含まれています。

例えば、1.職務(仕事内容)、2.自己成長、7.企業の理念や戦略、8.組織風土、9.給与・福利厚生といった職場環境

ワークエンゲージメントを高めるには企業努力が必要な一方、従業員個人の価値観に委ねられている部分もあります。採用の視点でこの点を考慮すると、採用後のミスマッチを防ぐために企業側が求人広告や自社の求人サイトに、いかに上記の9つに関する情報を掲載し、発信しているかが重要になります。是非、自社のサイトや求人広告の内容を一度チェックされてみてはいかがでしょうか?

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おはようございます。プロセスコアの山下です。

先月の連休をつかって夫婦で、鹿児島に住む叔母の家に行ってきました。
(叔父は既に他界されているのですが、今の仕事をするきっかけを作ってくれた恩人で、今年8月に結婚した報告も兼ねて挨拶に行ってきました。)

コロナ禍の状況でもあり、行くこと自体どうかと思う部分もあったのですが行ってみて、本当に良かったと思いました。

沢山の人にお世話になって今の自分があると思うのですが、特に人生の転機やピンチの時に支えてくれた人、背中を押してくれた人の存在は、かけがえのない存在で、そういった人に直接感謝の言葉を伝える機会は「初心」や「お陰様」の気持ちを確認する機会になったからです。

忙しい日々が続くとついついそういった気持ちを忘れがちですが、だからこそそのような機会を定期的に作っていこうと思った次第です。

今回のコラムのテーマ
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「職場内のルールの重要性」について

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ルールの定義ですが、「職場内でのあらゆる決まりごと」と幅広く定義すれば、職員間やお客様へのルール、業務の標準書や作業マニュアル、社内諸規程といったものまで幅広く含まれるかと思います。

そもそもルールが何故必要かというと、職場内の秩序維持があげられますが、お客様への印象や、サービスの標準化、品質の維持、信用という部分にも大きく関わってきます。

ルールが組織内で周知徹底されていれば、我社の社員はこういう時にはこうすべきだ、という価値観が共有されているので、指示を出さなくても自分の判断で動いてくれる状態が増え、組織内の生産性も上がります。

逆に周知徹底されていなければ、「何でそんなことするの?」といったすれ違いが多く生まれ、すり合わせをすることに膨大な時間を割くことになります。

では、ルールの周知徹底を進めるには、どのような方法が有効なのでしょうか?

一般的な方法をご紹介すると、

まず、「ルールが存在していることを知ってもらうこと」です。

入社時、できるだけ早い段階で時間を割き、ルールの読み合わせを行い、かつ、何故そのルールがこの会社において必要なのか?背景や目的を伝える必要があります。

このルールの読みあわせがなされないまま進むと、悪気なくルール違反をする社員が増えてきて、すり合わせに多くの時間を割く可能性が増えてきます。

次に、ルールが守られていない人がいたら、注意や指導をすることを怠らないことです。

注意を怠っていると、ルールは守らなくてもいいものだという認識を、ルールを守らなかった人だけでなく、ルールを守っている人にも与え、職場内の秩序維持に悪影響を与えます。

最後に、定期的な読みあわせやメンテナンスを行うことです。

人は忘れやすいものです。
定期的に確認を行い、かつ、一度決めたからといって固執せず、内外の環境に合わせて柔軟にルールの見直しを図っていく必要があります。

弊所でも、毎日の朝礼の際にルールを2つずつ読み上げ、全体確認し、最近の状況にルールがあっていないと判断したらすぐに更新をかけるようにしています。

職場内でもし、ルールを守れない人が多く、注意指導する時間を多く削がれているという経営者や管理職の方がいらっしゃいましたら、気付いた時点からでも良いので、ルールの一つ一つをメモに残し、全体に周知することから実施していきましょう。

そして一つ一つのルールを蓄積して明文化する作業を繰り返すことをお勧めします。

今回のコラムは以上です。
お読み頂き、ありがとうございました。

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